◆米大リーグ ワールドシリーズ第3戦 ドジャース6X―5ブルージェイズ=延長18回=(27日、米カリフォルニア州ロサンゼルス=ドジャースタジアム)

 ブルージェイズは終盤、徹底的にドジャース・大谷翔平投手との勝負を避けた。7回までの4打席で2本塁打と2二塁打を許した後、残る5打席は4申告敬遠1四球。

結果として、9打席出塁のWS新記録をアシストする形になった。

 悔やんでも悔やみきれないのが、5―4と勝ち越した直後の7回1死の第4打席。マウンドに集まって勝負を選択したが、右腕ドミンゲスの甘く入った初球の直球が左中間にはじき返されて追いつかれた。狙いは四球覚悟で誘い球を投げ続けるものだった。「あの時は、勝負を避けつつ投げる形を取ろうとしていた。ただ、そういう投げ方は難しい。ボールにしようとしても制球を誤ることもある」とシュナイダー監督は振り返る。そして覚悟を決めた。「やはりバットを持たせないほうがいいと判断した」。指揮官は勝負を避け続けるに至った経緯を明かした。

 9回の大谷の第5打席以降、同監督は4度続けて、申告敬遠を指示する「4」のサインを繰り返した。走者なしの状況でも3度、勝負を避けた。

「彼の出来は本当に見事だった。間違いなく地球上で最高の選手の一人だ。試合中もリアルタイムで対応を修正しながらだった」と一度火をつけてしまった後の対応の難しさを告白。「単にオオタニを歩かせてムーキー(ベッツ)やフレディ(フリーマン)と勝負、というのも、相手はタレントぞろいだから簡単ではない。(敬遠は)すべての状況が違う。時には、彼以外に打たれた方がマシ、と思うこともある。もちろんベッツやフリーマンに打たれても痛いけどね」と話した。

 9回以降に大谷と勝負しなかったからこそ、延長18回の死闘につながったとも言える。「もう夜遅いが、全員が前を向いている。ドジャースが今日勝ったのは“シリーズ”じゃなくて“1試合”だ。明日はまた新しい試合がくる」と、投手・大谷との第4戦へ前を向いていた。

 ドジャース・ロバーツ監督「(大谷4敬遠は)理解できる。

彼は地球上最高の選手。素晴らしい打撃を見せた後だからね。翔平に絶対打たせないと決めていたのだろう。尊重すべき判断だろう」

 T・ヘルナンデス外野手(先制弾など4安打)「もう言葉が出ないよ。ただひたすら戦い続けて、相手も同じように必死だった。誰も負けたくない試合だったけど、最後は僕たちが勝った。今はただ家に帰って、少し休みたい」

 ◆大谷記録めも

 ▽3度の複数HR試合=PS初。

 ▽単一PS8本塁打=20年のシーガーに並ぶ球団最多タイ。

 ▽1試合で複数HR+複数二塁打+複数四球=PS史上初。レギュラーシーズンを含めると03年のJ・エドモンズ以来MLB2度目。

 ▽WSで無走者で敬遠=11年第5戦A・プホルス以来2人目。複数3度は初。

 ◆WS記録めも

 ▽6時間39分=史上2位。

 ▽両軍とも15安打以上=史上初。

 ▽ブルージェイズ19残塁=史上最多。

 ▽ブルージェイズ67打数=史上最多。

 ▽両軍合計130打数=史上最多。

 ▽合計44選手起用=ブルージェイズ23人+ドジャース21人で2位。合計19投手投入、ドジャースの10投手起用も史上最多。

 ▽フリーマンサヨナラ弾=WS初の2度目サヨナラ弾。同一選手による複数回サヨナラ打は史上2人目。PS通算3度サヨナラ打は史上3人目。ド軍のWSサヨナラ勝ちは史上6度目。

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