大相撲の東前頭5枚目で草野から改名した義ノ富士(よしのふじ、24)=伊勢ケ浜=が28日、しこ名を定着させる活躍を誓った。九州場所(11月9日初日・福岡国際センター)に向けて、十両以上で構成される力士会に出席。

「番付とともにしこ名も育てたい」と決意を述べた。また、ロンドン公演(15~19日)の休場を巡って、ネット上で広まった“デマ”も完全否定した。

 義ノ富士が心機一転の九州場所へ気持ちを高めた。27日の番付発表で、義理人情の「義」に伊勢ケ浜部屋伝統の「富士」を合わせたしこ名に改名した。新入幕から3場所目。「今まで(本名の)草野で覚えられていたので、少しさみしい部分もある」と打ち明けつつ、「番付とともにしこ名も育てたい。覚えられて、応援してもらえるように頑張りたい」と誓った。

 だが、新たな門出を前に思わぬ災難が降りかかっていた。SNSなどでロンドン公演の休場理由を巡り「パスポートの不備」との怪情報が拡散。日本相撲協会に処分を求める投稿を見かけた母からも心配されたという。

 実際は出国2日前の稽古で右の足首とふくらはぎを負傷し、歩けない状態に陥ったことが休場の理由だった。協会には事前にパスポートを提出しており、公演の手当もすぐに返還。

「誰の情報なんですかね。SNS、怖いです」。24歳は困惑しつつ、新たなしこ名での飛躍を思い描き、前を向いた。(林 直史)

 ◆義ノ富士 直哉(よしのふじ・なおや)本名・草野直哉。2001年6月25日、熊本・宇土市生まれ。24歳。6歳で相撲を始め、文徳高から日大に進み、23年学生横綱。卒業後に伊勢ケ浜部屋に入門し、24年夏場所に幕下最下位格付け出しで初土俵。2場所連続十両Vで新入幕の25年名古屋場所で11勝し、敢闘賞と技能賞。得意は右四つ、寄り。183センチ、151キロ。

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