主砲の一打が、死闘の末にサヨナラ負けを喫したショックを吹き飛ばした。1点を追う3回1死一塁。

ゲレロはカウント2―1から大谷のスイーパーを振り抜いた。左中間席へ逆転2ラン。WS自身初アーチにゲレロは「とてもうれしかった。あのホームランで勢いがついた」と胸を張った。

 第3戦は9投手を起用したが延長18回サヨナラ負け。1番打者のスプリンガーは試合中に右脇腹を痛め、この日欠場した。厳しい状況もはね返し、逆転勝ちで2勝2敗のタイに戻した。シュナイダー監督も「あの一振りで流れは変わった」とゲレロをたたえた。21年にア・リーグ本塁打王を争って2本差で上回り、投手・大谷翔平にはこれで通算11打数4安打2本塁打とした。

 投打での大谷攻略が勝利につながった。7回にはバーショ、クレメントの連打でマウンドから引きずり降ろし、救援投手から4点を奪った。前日は2本塁打など全9打席で出塁を許し4敬遠もあった打者・大谷に対しては、3打数無安打に封じた。

大谷から2三振を奪った先発ビーバーは、20年サイ・ヤング賞右腕の意地を見せた。シュナイダー監督も「手応えがある。自信を持って戦えている」とホッとしたようだった。

 ゲレロと大谷は、試合中でも一塁塁上で談笑する仲。大谷VSゲレロとしての見方も強いシリーズだが、ゲレロは「大谷のことはとても尊敬している。本塁打は気持ちよかったけど、彼はすごいアスリートだよ」とたたえることも忘れなかった。頂上決戦の行方は分からなくなってきた。(安藤 宏太)

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