相次ぐクマ被害の防止に向け、秋田市は30日までに、クマを捕獲したハンターに1頭当たり1万円の報奨金を支給することなどを盛り込んだ緊急対策を発表した。

 市によると、現場に出動する猟友会員の報酬は現行の4000円から8000円へと倍増。

報奨金1万円については、支給は今年限りで狩猟期間の11月1日~来年2月15日までの捕獲が対象となる。個体数の減少を目的とし、全国のハンターにも協力を呼びかける。そのほか、箱わなの増設などの措置も発表した。

 秋田市では市街地でクマの目撃が相次いでいる。今月27日には農作業中の女性(81)が襲われ、死亡するなど計3人の被害が出ている。秋田市の沼谷純市長(52)は「事態を災害レベルと受け止め、市民の安全安心を最優先に、この危機的な状況を一日も早く収束させる」とコメント。クマ対策に市民の理解を求めた。

 同市は迅速かつ安定的な駆除のために「公務員ハンター」を募集・採用することも明らかにした。採用用件は、有害鳥獣駆除に必要な免許の有資格者となっている。公務員ハンターは、長野県小諸市が「ガバメントハンター」として2011年に1人を採用したのが最初。現在は2人いる。同市農林課でわな猟のガバメントハンターとして勤務する佐藤勝弥さん(28)は「猟友会などのハンターさんは、町中で猟銃を撃つ経験がない。

行政のなかで判断できる調整役の方がいい」と利点を語った。

 2025年度のクマによる死者は全国で過去最多の12人。クマの被害対策として自衛隊派遣を受ける秋田県では30日、担当する職員をこれまでの11人に加え、26人増員する人事を発令した。

 陸上自衛隊秋田駐屯地(秋田市)では同日、隊員約130人と秋田県、地元猟友会による訓練があり、県要望の自衛隊派遣に向け、クマの特性や箱わなの輸送方法を共有した。

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