17位の横浜FMが敵地で京都に3―0で快勝し、今季初3連勝で残り2試合を残してJ1残留を決めた。前半35分にFW谷村海那(27)が先制点を決め、後半終了間際にMF植中朝日(24)が3試合連続得点を決めるなど快勝。

一時は最下位に低迷し、残留圏まで勝ち点で最大10差離された中、残留まで浮上した戦いを担当の後藤亮太記者が「見た」。

 名門のプライドは守られた。J1残留が決まると、主将MF喜田はうれし涙を流し、選手らは喜びを爆発させた。クラブ初の最下位、ワースト7連敗&11戦未勝利、2度の監督交代…。多くの困難を乗り越え、踏ん張った。喜田が「長かったし、苦しかった」と漏らした言葉は本音だろうが、踏みとどまれた要因は大きく2つあると思う。

 〈1〉現実路線 自陣からパスをつなぐ開幕当初のサッカーから、5月中旬に前線へ素早くロングボールを送り込む方針に転換。パスで崩しきる理想からシンプルな現実路線を選択した。6月中旬から指揮を執る大島秀夫監督(45)も継続して磨きをかけ、この日の前半35分のFW谷村の先制点は、自陣からシンプルにFKを蹴り込み、井上が倒されて奪った左FKから生まれたものだった。植え付けてきた戦う姿勢も選手が優勝争いを繰り広げる京都に示し、指揮官も「泥臭いサッカーですけど、気持ちを前面に出して最後の笛が鳴るまで表現してくれた」とうなずいた。

 〈2〉一体感 ここ10年は外国人監督が中心だったが、21年からコーチを務めてきた大島監督は選手から「秀夫さん」と呼ばれるように、双方向のコミュニケーションを取れる存在。選手に寄り添った姿勢はスタッフも含めチームに一体感を生んだ。

「クラブを、仲間を信じ抜くことを大事にしてきた」(喜田)と絆(きずな)を深めた。

 夏場にアンデルソンロペスらブラジル人トリオが退団し、DF角田、FW谷村、クルークスらの補強組が結果を残したことも大きな要因。ただ、名門のプライドを背負って戦う重圧を全員で共有し、残留に向けて死に物狂いで戦ったことがこの結果を呼んだとも思う。来季は、この経験がチームを強くした―。そう言えるような戦いを期待したい。(横浜FM担当・後藤亮太)

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