◆サッカー◇全国高校選手権北海道大会 最終日 北海1-0札幌大谷(9日・大和ハウスプレミストドーム)

 北海が札幌大谷を1―0で破り、2年ぶり14度目の優勝を飾った。前半24分にFW野沢渓人(3年)が決めた1点を体を張った守備で守り抜き、栄冠に輝いた。

元来持ち味としてきたDF力を強化すべく、9月には全国高校ラグビーの道予選を全員で観戦。ぶつかり合いへの意識をより高くした。練習から激しさを増した球際の強さを発揮し続け、道内3冠を狙った難敵を打ち破った。

 2年ぶりの優勝が決まった瞬間、北海イレブンは涙を流し、抱き合い、喜びを分かち合った。公式戦で3連敗中だった札幌大谷を下して立った頂点の座。島谷制勝監督(56)は「子どもたちが覚悟を決めて戦ってくれて、奇跡が起こった」とお立ち台で声を大にした。

 持ち味を発揮すべく、最大限の準備を重ねてきた。対人で負けないサッカーが北海のベース。今年はより磨きをかけるべく、9月に全員でこの日の会場プレドに向かった。目的は全国高校ラグビー道予選の決勝。花園切符を懸けてぶつかり合う姿を目の当たりにし、曳地優斗主将(3年)は「一段と肉弾戦へのこだわりができて。練習でもけんかになりそうなくらい、とにかく戦ってきた」。

競り合いでは恐れずに頭から突っ込んでこぼれ球を回収し、相手のシュートは体を投げ打って食い止めた。「圧をかけてボールを入れさせなければ、中にいいボールは入ってこない」。島谷監督の声を受け、相手の効果的なパスを封じ込んだ。

 フォーメーションも過去の対戦映像を見て考えた末に、4―4―2で行くと選手が決断。3バックでDFを1人余らせる守備的な戦いではなく、攻めの姿勢を選択した。曳地主将は「負けた試合は守りに入ってしまっていたが、点を取らないと勝てない。うちの攻撃で重要な部分のサイドハーフを生かすため、4―4―2で挑もうと」。指揮官が口にした勝つための覚悟を示し続け、結果につなげた。

 現3年生世代は、入学前まで輝かしい実績を持った選手はほぼいない。その中でもミーティングを繰り返して自分たちで考え、練習で実行し、声がけを欠かさず取り組んできた。曳地主将は「仲間を信じることは他のチームよりも頑張ってきたから、ここで勝ち上がれた」と結束を強調した。2年前のチームは全国で19年ぶり勝利を手にした。

島谷監督も「前回の方がうまさはあるが、今回のチームはまとまりは上」と評する団結力で、まずは全国1勝を目指す。

(砂田 秀人)

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