14日に社長退任を発表したサイバーエージェントの藤田晋社長が同日、自身のブログを更新。「社長交代について」と題し、詳細に退任理由などを説明した。

 藤田社長は「本日、次期社長の候補者(山内隆裕)を発表しました。12月に開催される株主総会を経て正式決定する見込みです。私は、創業来27年と9ヶ月務めてきた社長を退任し、会長に就任します」と始めると、社長交代を決めた経緯を説明した。

 「業績のほうは好調で、創業から28期連続増収を達成しています。インターネットの激しい変化の荒波に揉まれながら、事業ポートフォリオもたくさん入れ替わってるのに、どうして長年に渡ってそれが出来たのか。その理由は、定期的に人間ドックを受けて、健康への対策を怠らなかった人と同じです。将来起こりうる問題を、自分たちでくまなく探し、そこに手を打つことを怠らなかったからです。足元の好調な業績は、過去に行った努力の結果に過ぎません。もちろんそれは、あした会議や合宿など弊社の伝統的な定例行事を通じ、今も無限ループのように絶え間なく続いています。調子が良い時も悪い時も、長期ビジョンで、将来への備えを怠らないことが、長期の繁栄につながることを信じています。それが我々が大切にしてきた価値観です」と社長交代に踏み切った理由を明かした。

 さらに「今回の社長交代は、その価値観に沿ったものです。

準備を始めたのは3年前でした。もうじき私が50歳になる時に、10年後の想定をした『藤田晋(60)』と書かれた資料を見て、交代を決意しました。10年なんてあっという間です」と思いもつづった。

 続けて、新社長を山内隆裕専務執行役員に決めた理由を明かすと、今後については「社長と会長で役割分担をするのではなく、私の仕事を徐々に引き継いでいくような形で伴走する方針です」として心境を告白。「27年9ヶ月、人生を捧げ、私という人間のアイデンティティそのものと言って過言ではない、『サイバーエージェント社長』ではなくなる時を現実的に迎え、いま、何も思うところはありません。ノスタルジーな気分もセンチメンタルな感情もありません。それは、私がまだ1ミリたりとも気を緩めていない証しだと思います」と記し、今後の見通しを公表した。

 最後には「創業者が大きくした会社の社長交代だけは、通常の大企業の社長交代とは全く違う、特別なものです。調べてみると、功績を成した創業者の多くが驚くほどここで大きく躓(つまづ)いていますが、私は絶対にやり切る覚悟です。何をしたら引き継ぎが成功したかと問われれば、それはシンプルです。私が抜けた後もぐんぐん伸びる会社であれば良いのです。2022年から始めて準備だけで4年近く、会長社長になってさらに引継ぎに4年以上かけて臨むことが、どれだけ本気の挑戦であるかをみてほしいと思います」と決意を述べた。

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