◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 J2札幌のGMにOBの河合竜二氏(47)が就任した。浦和、横浜M、札幌でセンターバックやボランチを務めJ通算338試合に出場。

気迫を前面に出したプレーで「闘将」と言われた。現役時から知っているので、GM職に就くと聞き「やっかいな人がなったな」が最初の感想だった。

 河合氏が現役引退した2018年の出来事が根底にある。札幌は終盤まで上位争いを続け、最終節の広島戦に勝てば初のACL出場権を得られる状況だった。試合の1週間ほど前、河合氏が戦力外通告を受けたと知った。札幌を象徴する一人がチームを去る。ホームでの最終戦前に報じ、ファンに拍手で送られてほしいという思いが、私には強くあった。「記事にしたい」と交渉した。

 河合氏は首を縦に振らなかった。理由は一つ。「チームの勝負がかかった試合前に、個人のことで水を差したくない」。その一点張りだった。

取材でも「自分のことは取り上げなくていい」と口数が少なく、報道陣泣かせ。人生のターニングポイントでも信条を貫き、口を閉ざし続けた。結局、独材にはできず、記事にするには広島と引き分けた翌日のクラブ発表を待たなければならなかった。

 GM就任発表前、あいさつを兼ねてメッセージを送った。返事は「ご存じの通り、俺は取材嫌いですからね笑」だった。強化部門トップから「裏取り」ができなければ、人事情報の記事化は難しくなる。7年たっても変わらない「やっかいな人」をどう攻略するか、考えを巡らせている。(サッカー担当・砂田秀人)

 ◆砂田秀人(すなだ・ひでと)2020年入社。前職を含め、札幌担当は10年余り。

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