◆全国高校サッカー選手権静岡県大会▽決勝 浜松開誠館0―0(PK5―4)藤枝東(15日・IAIスタジアム日本平)

 決勝が行われ、浜松開誠館が藤枝東を下して3年ぶり3回目の優勝を飾った。お互いに決定機をつくりながらゴールを奪えず、延長戦も0―0で勝負はPK戦へ。

開誠館のGK吉田壮馬(3年)がシュート2本を止め、5―4で夏の県総体に続く2冠を達成した。MVPには得点王(4点)の開誠館DF水谷健斗(3年)が選ばれた。全国大会は17日に抽選会が行われ、来月28日に開幕する。

 これぞ守護神だ! 両校とも5人が蹴り終えて4―4。PK戦はサドンデスの6人目に突入した。先攻・開誠館の礒部舜也(2年)がゴール右上へ正確に蹴り込むと、GK吉田が“魅せた”。藤枝東6人目のキックを右に跳んでセーブ。「どっちに跳ぶか迷ったけれど、気がついたら右に跳んでいました」。優勝を決めると、スタンドの応援団に向かって両手でポーズを取り、笑顔を見せた。

 味方の2人目がバーに当てて失敗。嫌な雰囲気が漂った。しかし、続く藤枝東のキックを両手で止めて、流れを引き戻した。

結果的にGKが圧倒的不利なPKで2本ストップ。「自分なら止められる、と自信を持って跳びました」。全体練習後に、PK戦の練習を連日重ねてきた成果を大舞台で見せつけた。見守った青嶋文明監督(57)も「1、2本は止めてくれると思っていました」と、うなずいた。

 主将のMF川合亜門(3年)を筆頭に、3年前の全国中学校大会を制したメンバーが中心。6月の県総体で初優勝を飾り、7月の全国総体では立命館守山(滋賀)を7―0で下して「全国1勝」を飾った。だが続く3回戦で山梨学院に0―2。力の差を見せつけられ、「個々のレベルを上げないと勝ち進めない」と新たなスタートを切った。

 県王者として選手権に臨むのは初めての経験。大会前には「他校が全力で向かって来るぞ」とコーチに言われ、意識を高く持ち、練習のギアを上げた。「その積み重ねもあって団結力も強くなった」と川合主将は振り返った。

 まだ課題は多い。

序盤は攻撃陣に硬さがあり、チャンスでゴールを決められなかった。「もっと決定機をつくらないといけない。練習です」と指揮官は気を引き締めた。目標は「ベスト4入りです」と吉田。本番まで1か月半。国立に駒を進めるために、得点力を高めていく。(里見 祐司)

 ◆浜松開誠館 1924年(大正13年)創立の私立校。98年に女子校の誠心から現校名に変更して共学化。サッカー部は2005年創部。主なOBに松原后(磐田)、須貝英大(京都)、熊取谷一星(東京V)。女子バスケットボール部は全国大会常連。

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