ヨルダンで開催された2025女子U16バレーボールアジア選手権大会(1~8日)に、道内から唯一、札幌大谷中3年の井上奈々帆(15)が出場。第2セッターとして4位となり、来年のU17世界選手権(チリ)の出場権獲得に貢献した。

初めて日の丸を着けた経験を糧に、世界選手権での代表入りへ更なる飛躍を図っていく。

 日本代表として初めて過ごした日々は、井上にとって忘れられない時となった。海外に行くのも初めて。初日は「飛行機の臭い」にも戸惑ったが、最終日は「帰りたくなかった」と言うほど、思い出深い日々となった。「会場の雰囲気から全然違って。緊張もあったし、わくわくもあった。いい経験になったなと思います」。笑顔で8日間を振り返った。

 代表では第2セッターとして背番号11を着けて戦い、4試合に出場した。「海外の高さのある相手にどう対応するかとか、自分の今の年齢で世界を見られたことが一番」と収穫は多かった。「すごいいいアタッカーがそろっていた」と言う面々と一緒にプレー。同年代の選手からも刺激と教訓を得た。

「アタッカーがいい条件で打てるように、トスの精度もそうだし、組み立て方をもっと考えられるようにやっていきたい」と今後につなげていく。

 セッターになったのは昨秋。中2まではアタッカーも、札幌大谷中の朝倉美紀監督が「特別なものがないとセッターって難しいが、ボールさばきやボールを出す筋とか、いいものを持っている」と指名した。井上自身も「元々これが得意というプレーがなかったので。セッターになったらトスを極めたいとずっと思っていた」と新たな位置に意欲的に取り組んできた。セッター歴こそ短いが、代表の三枝大地監督も「パス回しやツー(アタック)とかが面白い」と171センチの大型セッターに着目。初選出を勝ち取り、世界相手にアピールしてきたように、朝倉監督は「シンデレラガールかな」と目を細めた。

 来年にはU17世界選手権が控える。目指す次なる大舞台に向けて、4月からは札幌大谷高で研さんを積む。「今のままの自分の実力だと厳しいと思うので。今回見つかった課題を日頃の練習で克服して、成長した姿でまた選考会に行って選ばれたい。次は正セッターとしてコートに立ちたい」。

伸びしろ十分の井上が、再度世界に挑戦すべく、意を強くした。(砂田 秀人)

 ◆井上 奈々帆(いのうえ・ななほ)2010年9月30日、札幌市生まれ。札幌大谷中3年の15歳。小学校の教員を務める母の教え子の勧めで、小3から「札幌山の手南ジュニア」で競技を始める。札幌大谷中2年まではアタッカー。得意プレーはツーアタック。憧れの選手は男子ブルガリア代表の209センチセッター、シメオン・ニコロフ。趣味はバレーボールを見ること。家族は両親と兄。171センチ、63キロ。右利き。

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