◆プロボクシング ▽WBA世界バンタム級(53・5キロ以下)タイトルマッチ12回戦 正規王者・堤聖也―暫定王者・ノニト・ドネア▽WBA・WBO世界ライトフライ級(48・9キロ以下)王座統一戦12回戦 WBA王者・高見亨介―WBO王者・レネ・サンティアゴ▽WBO世界フライ級(50・8キロ以下)タイトルマッチ12回戦 王者アンソニー・オラスクアガ―同級4位・桑原拓(12月17日、東京・両国国技館)

 WBO世界フライ4位の桑原拓(30)=大橋=が、12月17日に両国国技館でWBO世界同級王者アンソニー・オラスクアガ(26)=米国=に挑戦することが17日、発表された。昨年5月に東京ドームでWBA世界同級王者ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)に判定負けして以来、2度目の世界挑戦となる桑原は、横浜市内の所属ジムで会見。

「黄金世代」の1995年生まれとして「自分も世界チャンピオンになって、一緒に並ばないといけないという使命感がすごくある。しっかり勝ってみんなと肩を並べられるように頑張ります」と決意を述べた。

 「95年組」は、田中恒成(畑中)、比嘉大吾(志成)、山中竜也(真正)、井上拓真(大橋)、ユーリ阿久井政悟、岩田翔吉(帝拳)、堤聖也(角海老宝石)の7人が世界王座を獲得。アマチュアでも坪井智也と岡沢セオンの2人が世界選手権優勝を果たしている。

 桑原は、前回世界挑戦した阿久井戦では「試合の1か月ほど前に(あばらを)ケガしてしまい、満足できるスパーリングも練習もできなかった」という。「1年半前、ドームで試合した時とは気持ちも覚悟も全然違う。そういうところを生かしたい」と話し、「ボクシングの幅も広がったし、引き出しの増えたボクシングを見せたい」と自信を口にした。

 当初は12月18日に後楽園ホールでフー・ロンイー(中国)と51・5キロ契約8回戦を闘う予定だった。試合に向け、大阪の六島ジム、石田ジム、東京でも角海老宝石ジム、DANGANジムへ出稽古を敢行。「環境を変えたかったのと、アウェーでどんどんやっていきたいなっていう気持ちがあった。全部一人で行ったので、メンタル的にも強くなりました」と精神的にも成長を実感している。

 当初オラスクアガに挑戦予定だった飯村樹輝弥(27)=角海老宝石=が負傷で辞退したことにより、急きょ世界戦のチャンスが巡ってきた。

出稽古では、同じ95年組のWBA世界バンタム級王者・堤聖也とも拳を交えた。「6ラウンドを2回やって、今週ももう1回やる予定です。圧力のかけ方、パンチの当て方、ナックルの当て方とか、やっぱり世界を肌で感じたなっていう印象がすごくあった。世界戦の前に、チャンピオンとスパーできたのはいい経験」と収穫を口にした。

 所属ジムの大橋秀行会長(60)は「負傷してチャンスが巡ってくるっていう流れは、大体いつも、勝つ流れ。桑原に期待していきたいと思います」と話した。 同じフライ級では、1962年にファイティング原田が矢尾板貞雄の代役としてポーン・キングピッチ(タイ)の持つ世界王座に挑戦し、11回KO勝ちで世界王者となっている。

 桑原は「自分のボクシングさえしっかりできれば、必ずタイトルを獲れると思う。しっかり覚悟を持ってチャレンジする。絶対勝ちに行くという気持ちで、成長した部分をお見せできれば」と王座獲得を誓った。

 戦績はオラスクアガが10勝(7KO)1敗、桑原拓が14勝(9KO)2敗。

 トリプル世界戦興行は、動画配信サービス「U―NEXT」で独占生配信される。

 ◆桑原 拓(くわはら・たく)1995年4月4日、大阪市生まれ。30歳。興国高でインターハイ、国体の2冠を獲得。東農大では主将を務めた。アマ戦績は68戦50勝18敗。18年5月にプロデビュー。22年10月、東洋太平洋フライ級王座を獲得(防衛1度)。24年5月、WBA世界同級王者ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)に挑戦したが判定負け。身長164センチの右ボクサーファイター。

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