歌舞伎俳優の中村橋之助が18日、東京・浅草寺で行われた「新春浅草歌舞伎」(来年1月2~26日、浅草公会堂)の成功祈願に市川男寅、中村莟玉(かんぎょく)、市川染五郎、尾上左近、中村鶴松らと出席した。

 花形歌舞伎俳優の登竜門。

前回から座頭としてリーダーシップを発揮する橋之助は10日に元乃木坂46・能條愛未と婚約を発表したばかり。「幸せを力に」をテーマに掲げ、「前回は挑戦でしたが、2年目からは継続というフェーズに入る。素敵なお芝居、素敵な時間を提供して、より魅力的な公演になるように精進したい」と意気込みを語った。

 橋之助は夜の部「傾城反魂香(けいせいはんごんこう)」の浮世又平後に土佐又平光起を初役で勤める。女房おとく役の中村鶴松と10代から平成中村座などで、切磋琢磨(せっさたくま)してきた間柄。橋之助が「中学時代に鶴(鶴松)と『傾城反魂香』の初役は2人でやろうと約束していたので、夢がかなった。幸せなこと」と言えば、鶴松も「橋之助さんを支えて、素敵な奥さんと思ってもらえるように頑張りたい」と力を込めた。

 2023年に死去した4代目市川左團次さんを祖父に、市川男女蔵を父に持つ男寅は今回から新加入。「新入生の市川男寅です。新春浅草歌舞伎は憧れの公演だった。7代目市川男寅の名前を、この公演に刻むことができて感無量」とあいさつ。「祖父、父とも違う『自分の色』を見つけていただきたい」。

19歳で最年少の左近から「いじられキャラキャラを受け継いでもらえたら」とリクエストされ、「いじられキャラになるかもしれない新入生の市川男寅です」と困惑気味に語った。

 染五郎は昼の部「梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり)」で梶原平三景時を演じる。前回の「絵本太功記」の武智光秀に続いて時代物の大役を勤めることになり、染五郎は「高麗屋にとって大切な役。舞台の真ん中にいるプレッシャーはありますが、ドシッと座っていながらも、華やかさ感じていただけるように勤めたい」。さらに「『橋之助兄さんの幸せオーラを力に』がテーマです」と笑わせた。

 大ヒット中の映画「国宝」(李相日監督)にも登場する舞踊「藤娘」の藤娘を勤める莟玉は「(一般家庭出身で)外から歌舞伎界に入ってきた私が藤娘を私がやる。『おーっ』て思う方は、(吉沢亮が演じた映画の主人公・喜久雄と重ねて)そう思って見ていただければ。でも映画は映画。歌舞伎は歌舞伎です。僕たちの世代が何に挑戦するべきか。先を見据えてお役を渡していただいている。舞台に集中するのみ、というのが本心です」と気を引き締めた。

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