2025年の森保ジャパンは、国内組で挑んだE―1選手権3試合を含む13試合を戦った。「選手層の拡大」「戦術の浸透」という2つの軸で強化を図ったチームの成果と課題は―。

(岡島 智哉)

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 ▼GK 鈴木彩艶を主軸に固定しつつ、大迫敬介と早川友基の経験値を高めることに成功。本大会の3枠は、アクシデントがなければこの3人となりそうだ。谷晃生や今活動招集の小久保玲央ブライアン、野沢大志ブランドンも控えており、選手層は過去の代表史上最も厚いと言える。

 ▼センターバック? 負傷者続出のトラブルを抱え「戦術の浸透」の面ではプラス要素が限られた。一方で「選手層の拡大」の面では“けがの功名”が大いに働き、鈴木淳之介、渡辺剛の台頭、谷口彰悟の復活は好材料。瀬古歩夢もこの日は好パフォーマンスを発揮し、期待に応えた。森保一監督が復帰を熱望する冨安健洋(アーセナル退団)をはじめとした長期離脱組を、今後どう融合させていくかがカギとなる。

 ▼ボランチ 遠藤航、守田英正の二枚看板に続く存在が求められていたが、一気に層が増した。シャドー(1・5列目)起用が多かった鎌田大地がこの日もゴールを奪い、佐野海舟の評価も急上昇中。計算できる田中碧も控えており、誰と誰を組み合わせるかによってチームカラーを七変化できる陣容が整った。

 ▼サイド、シャドー 三笘薫の相次ぐ負傷は計算外だったが、主力組同士の関係性は確実に深まった印象。一方、コアメンバーを脅かす存在は出てこなかった。

中村敬斗、堂安律、伊東純也、三笘らサイドとシャドーを兼務できる選手が多いため、現状の“頭数”に問題はないが、このアタッカー陣に食い込む選手がもう1、2枚欲しいところ。若手を多く呼び、種は十分にまいた。W杯までに才能が花開く選手が出ることに期待したい。

 ▼1トップ オランダ1部得点王を独走し、パラグアイ、ブラジルからゴールを奪った上田綺世がエースとしての格を高めた。現状2、3番手の小川航基、町野修斗も随所でゴールを決めており、競争力を高めている。調子が重視されるポジションだけに、今後の所属クラブでの結果もメンバー争いの選考材料となっていきそうだ。

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 今後は12月5日のW杯組み合わせ抽選会を挟み、26年3月に行われる欧州遠征(予定)が、メンバー発表前最後の活動となる。6月1~9日の国際Aマッチデーを挟み、同11日からW杯開幕となる。

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