今季限りでの現役引退を発表している川崎の元日本代表DF車屋紳太郎が19日の練習後、麻生のクラブハウスで引退会見を行った。特別指定選手を含め、12年間川崎一筋でプレーし、左利きのセンターバックとして長く活躍。

ファン・サポーターに愛された33歳は「ここ2、3年チームの力になれず、どこかで線を引くべきだなという思いがあった」としみじみと語った。一昨年に膝を負傷し、昨年初めに手術。引き際を覚悟したのが昨年末あたりで「来年(25年)ダメだったらそこまでだろう」。けがが完治して臨んだシーズンだったが、「今年は言い訳できないと思っていた。それで結果が出せなければ自分の実力不足だと思っていた」と引退を決断した。

 周囲からは「まだまだやれる」との声もあるが「プロサッカー選手としてピッチで結果を残すことが一番。今、自分がそれをできていないことを考えると、この決断をせざるを得なかった。最後は自分の信念を貫いた」と振り返った。フロンターレへの愛着は人一倍強い。あまり出番に恵まれなかった2020年、契約切れのタイミングでその年限りでの退団も覚悟していたというが、チームから複数年契約を提示された。「びっくりした。自分は愛されているんだなと思った。

このチームでお世話になってきた分を、最後残りのサッカー人生で返さなければいけない。それが『このチームで引退したい』と考える要因になった」と明かした。

 一番の思い出は2017年のリーグ初制覇した試合。「2017年の優勝は忘れられない。フロンターレの歴史を変えた瞬間にピッチにいられたことはすごくうれしい。そこがフロンターレの転換期だった。あの試合(最終節・大宮戦)が一番覚えている」。チームは初タイトルを機に、21年までの5年間で4度リーグ制覇と常勝軍団へと変貌した。「より選手に自信がついた。勝つのが当たり前というシーズンもあった。そのプレッシャーの中で、自分も他のレベルの高い選手たちについていけるように必死だった」と回想した。後輩たちには「もう一度タイトルを何個も取れるようなチームになってほしい」と期待を寄せた。

 J1リーグ通算250試合5得点。日本代表としても国際Aマッチ4試合に出場した。今季、ホーム最終戦は30日・広島戦(U等々力)となる。今後については、サッカーに携わる予定で「今までは選手としてプレーするだけだった。もしかしたら、教える立場になるかもしれない。サッカーについてもっと勉強しなきゃいけない。もっともっとサッカーについて知っていけたら」と指導者にも興味を示した。

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