大相撲九州場所13日目(21日・福岡国際センター)

 2場所連続優勝を狙う横綱・大の里が関脇・安青錦を寄り切った。2敗同士の対決で横綱の威厳を保ち、ウクライナ出身の新鋭との対戦成績を3戦全勝とした。

横綱・豊昇龍も大関・琴桜を寄り切り、2敗を守った。西前頭14枚目・時疾風は東同5枚目・義ノ富士に寄り切られ4敗に後退。優勝争いは大の里、豊昇龍が2敗で並び、安青錦が1差で追う形となった。

 大の里が、安青錦との2敗対決を制した。立ち合いはもろ手で当たるが突き放せず。左上手を許して投げを打たれたが、構わず前進。体を預けて寄り切った。横綱も腹ばいに倒れ込んだが、物言いはつかず。「体を寄せて前に出られたので(勝った)自信は少しあった」。前頭部には砂がつき、左肘や胸の左部分には赤く擦り傷。約3秒の短い勝負ながら激闘を物語った。

 高田川審判長(元関脇・安芸乃島)は「(物言いは)付けようがない。

(安青錦は)飛んでいるし、吹っ飛ばしたからね」と説明。安青錦の挑戦を三たびはね返した。今回はまわしを許し、「相手も考えてきた。でも、しっかり対応できた」と冷静に対処。大関を狙うウクライナ出身の新鋭の前に、横綱が壁として立ちはだかった。

 目指すは2場所連続の賜杯。2敗のトップで豊昇龍とともに両横綱が並走する。大の里は「目の前の一番に精一杯、集中する。まだ2番ある」。一年納めの本場所で静かにラストスパートに入った。(山田 豊)

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