宝塚歌劇花組スター・極美慎(きわみ・しん)主演の舞台「DEAN」が23日まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで。東京公演は日本青年館ホールで12月3日~11日まで上演される。

 極美は今年8月11日付で星組から花組に組替え。自身初の東上公演となる今作は、1976年にロンドンで初演、81年に大地真央主演で宝塚バウホールにて上演し、その後も91年に安寿ミラ、98年に絵麻緒ゆう主演で再演された名作ミュージカル。27年ぶりの再演となる今回も、1950年代のハリウッド映画界に彗星(すいせい)のごとく現れ、わずか3作の主演作を残し夭折(ようせつ)した伝説のスターのジェームズ・ディーンの生涯を描き出す。無名時代の若く無鉄砲な性格を荒々しく、映画「エデンの東」で有名になってからの苦悩を極美が繊細に演じている。

 ディーン自身の孤独と、苦悩に満ちた生い立ちを重ねながら、役に没入していく様子を極美が熱を持って丁寧に表現。荒っぽい言葉使いや、破天荒な撮影アイデアも、複雑な生い立ちが明らかになるにつれて自然と納得できる説得力があった。また、ディーンをスターにしたPR会社の社長・ベンを希波(きなみ)らいとが軽やかに演じることで、極美との対比がより際だち、その後の友情へとつながるシーンは心に迫るものとなっている。

 ストーリーテラーとして、ディーンの追っかけカメラマン・パットを天城(あましろ)れいんが務め存在感を発揮。ディーンが唯一愛した女性・ピアを美羽愛(みはね・あい)が魅力的に演じている。組替えをしてきたばかりの極美だからこそ出せる孤独感がまさに今作にピッタリ。舞台にかける情熱はもちろんのこと、心許せる仲間との軽妙なやりとりなど、何度見ても新たな発見が見つかる作品となりそうだ。

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