大相撲九州場所14日目(22日・福岡国際センター)

 大の里、豊昇龍の両横綱がともに敗れ、新関脇・安青錦と3人が3敗で並んだ。安青錦は過去2戦2勝の豊昇龍を押し出して11勝目。

初優勝へ踏みとどまり、今場所後の大関昇進の可能性も出てきた。大の里は大関・琴桜に寄り切られた。千秋楽は安青錦が琴桜、結びで大の里と豊昇龍が対戦。安青錦が勝てば大の里―豊昇龍の勝者との優勝決定戦にもつれ、敗れた場合は結びの一番を制した横綱が賜杯を抱く。

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 豊昇龍が天敵にまたも手痛い1敗を喫した。立ち合いでもろ差しを狙うような動きを見せたが、相手のおっつけに阻まれて届かず。不利な体勢となって後退し、一方的に押し出された。八角理事長は「立ち合いで失敗した。起こそうとして逆にまわしを取られた」と指摘した。安青錦には初顔合わせから3場所連続の黒星。支度部屋に戻ると「失敗した」と悔しさをにじませ、付け人が制する形で取材を断った。

 横綱昇進5場所目での初優勝に向け、流れは豊昇龍にあった。

6日目時点で2敗と追い込まれたが、終盤戦にかけて大の里、安青錦が足踏み。この日も結び前の一番で大の里が3敗目を喫した。安青錦に勝てば単独首位に立っていたが、連勝が7で止まり、3人が3敗で並ぶ混戦を招いた。千秋楽は過去7勝2敗と合口のいい大の里との横綱対決。立て直し、賜杯をつかみにいく。(林 直史)

 ◆元大関・琴風Point 立ち合いが明暗を分けた。2連勝している安青錦は低く当たって左を取って一気に出た。一方の豊昇龍は苦手意識があるのか、中途半端になった。私の目には意図のない立ち合いのように見えた。本来の鋭い当たりが見られず、胸も反っていた。もろ差し狙いだったと思うが、失敗だったといえる。得意と苦手が鮮明に出てしまった一番だ。

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