大相撲九州場所14日目(22日・福岡国際センター)

 大の里、豊昇龍の両横綱がともに敗れ、新関脇・安青錦と3人が3敗で並んだ。安青錦は過去2戦2勝の豊昇龍を押し出して11勝目。

初優勝へ踏みとどまり、今場所後の大関昇進の可能性も出てきた。大の里は大関・琴桜に寄り切られた。千秋楽は安青錦が琴桜、結びで大の里と豊昇龍が対戦。安青錦が勝てば大の里―豊昇龍の勝者との優勝決定戦にもつれ、敗れた場合は結びの一番を制した横綱が賜杯を抱く。

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 大の里らしくない完敗だった。立ち合いで右を差したが、琴桜に組み止められた。左おっつけで一気に前に出るのが必勝パターンだが、逆に右差し左上手を許し、最後は力なく寄り切られた。「当たりが良くなかった」と唇をかんだ。土俵下では汗がびっしょり。左半身を気にするようなそぶりをみせ、顔をゆがめた。

 八角理事長は「左からのあれ(おっつけ)が効かず止まってしまった。あんなに下がったのは見たことがない」と首をかしげた。

幕内後半戦の九重審判長は「左肩かな。ちょっと痛がっていて、力も入らなかった。どこか本調子ではないと思った」と指摘した。

 13日目(21日)の安青錦戦で体を投げ出すようにして寄り切った際に、土俵に体を強く打ちつけた。左肘や胸の左部分には赤く擦り傷が付いていた。この日の朝、福岡・西区の部屋で普段は行うてっぽうをほとんど行わず、左肩付近を気にする様子。付け人の体を借りて入念にストレッチした。取組後、状態について問われると「大丈夫です」と前を向いた。

 優勝には結びで過去本割で1勝7敗(不戦勝除く)の豊昇龍に勝つことが最低条件。安青錦との優勝決定戦の可能性もある。「3敗してしまった。もう何も考えていない」と足元を見つめた。

2場所連続優勝、そして日本出身では貴乃花以来29年ぶり年間4度制覇へ、最後の力を振り絞る。(山田 豊)

 ◆元大関・琴風Point 大の里は左肩を痛めている影響が出たようだ。体当たりの立ち合いから右を入れた。一気に走れなくても右が入れば、大の里の勝ちパターンでもあった。この体勢から左をおっつけながら前に出るはずだったが、左が使えなかった。何もできないまま、琴桜に引き付けられ、右のかいな(腕)も返され、力なく土俵を割ってしまった。

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