大相撲九州場所14日目(22日・福岡国際センター)

 大の里、豊昇龍の両横綱がともに敗れ、新関脇・安青錦と3人が3敗で並んだ。安青錦は過去2戦2勝の豊昇龍を押し出して11勝目。

初優勝へ踏みとどまり、今場所後の大関昇進の可能性も出てきた。大の里は大関・琴桜に寄り切られた。千秋楽は安青錦が琴桜、結びで大の里と豊昇龍が対戦。安青錦が勝てば大の里―豊昇龍の勝者との優勝決定戦にもつれ、敗れた場合は結びの一番を制した横綱が賜杯を抱く。

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 最初に言い訳から入ることをお許し願いたい。このコラムでは“横綱同士の千秋楽2敗決戦”が濃厚と書いた。2横綱が負けるとは誰が予想しただろうか。大相撲の世界は何が起こるか分からないと言われている。その通りになった。

 勢いは間違いなく安青錦。前傾姿勢で左まわしを取って頭を付けて前に出る。これまでは無双を切るシーンなどがあったが、今場所は前に出る力が付いた。

正攻法の相撲は見事。私は千秋楽で琴桜に勝てば場所後の大関昇進も確実とみている。

 大の里は左肩の影響が気になる。恐らく横綱決戦は豊昇龍に軍配が上がるような気がする。すると優勝決定戦は豊昇龍と安青錦の再戦か。過去の対戦は安青錦の3戦全勝。得意と苦手の理論からすると安青錦が浮上してくるが、何が起こるか分からないのがこの世界。心が震える千秋楽になった。(元大関・琴風、スポーツ報知評論家)

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