◆スキーW杯(22日、ノルウェー・リレハンメル)

 ノルウェー・リレハンメルでジャンプ女子個人第1戦(ヒルサイズ=HS140メートル)が行われ、今夏のグランプリ(GP)で個人総合を制した丸山希(27)=北野建設=が、合計285・5点で初優勝を果たした。日本勢女子の優勝は高梨沙羅(クラレ)、伊藤有希(土屋ホーム)に続いて3人目。

1回目に133・5メートルを飛んで首位。2回目も130・5メートルと圧倒した。

 夏の女王が、冬シーズンでもいきなり主役になった。丸山は1回目に最長不倒となる133・5メートルでトップ、2回目も130・5メートルと2回ともに大飛躍を見せてラージヒル(LH)で完全優勝。2位に飛距離換算で約14メートル差をつけた。「こんなにいいスタートが切れると思っていなかった。ビッグプレゼントをもらった気分。目標はまだまだいっぱいある。一つずつクリアしていける年にしたい」。ミラノ・コルティナ五輪シーズンを最高の形で滑り出し、満面に笑みを広げた。

 今夏、一気にブレイクを果たした。夏の国際大会、グランプリ(GP)で9戦中7戦(1勝)で表彰台に立ち、自身初の個人総合V。

助走の安定感が増したことで、踏み切りでうまく力を伝えられるようになったことが大きな要因だ。さらに、練習でスタートゲートをあえて高く設定して、風を受け飛距離が出やすい条件で飛ぶことで、より遠くに飛ぶ技術を養った。

 27歳での初勝利と遅咲きだが、高梨、伊藤に頼り切りだった日本女子が待望した新戦力。21日の混合団体でも、トップバッターとして12季ぶりの優勝に貢献するなど主力級に成長を遂げ、強さは本物と言っていい。

 22年北京五輪は、21年10月の全日本選手権(LH)で転倒して大けがを負い出場を逃した。歩くことから始めたリハビリを経て22年8月に復帰した。「飛べることは当たり前じゃない。だからこそ楽しんで飛んで、五輪でメダルを狙いたい」。女子LHは五輪では来年2月のミラノ大会から採用される。飛躍の時を迎えた丸山が、金メダル候補に堂々と名乗りを上げた。

 ◆丸山 希(まるやま・のぞみ)1998年6月2日生まれ。長野県野沢温泉村出身。

27歳。小学4年で本格的に競技を始める。17年に明大に進学。15年ノルディックスキージュニア世界選手権団体で銅メダル。16~17年の札幌大会でW杯初出場。23年2月5日のW杯ビリンゲン大会(ドイツ)で2位に入り、自身初の表彰台。19年世界選手権に初出場し、個人17位、団体6位。161センチ。

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