22日から23日にかけて、クマの目撃情報は北海道から中部地方の広い範囲で住宅地や道路付近での出没が確認されたほか、宮城県では住民が襲われる被害も発生した。冬眠前の食料を求め、クマの活動範囲が人間の生活圏に及んでいる実態が浮き彫りとなっている。

 22日午前7時50分ごろ、宮城県栗原市一迫真坂の路上で、70代の男性が体長約1メートルのツキノワグマと遭遇した。男性は顔や右腕を引っかかれ負傷した。県警などは警戒を強めている。

 23日は早朝から、人里近くでの目撃が頻発した。北海道赤平市茂尻元町南では午前3時55分ごろ、道道上で親子とみられるクマ3頭が目撃されたほか、遠軽町野上の旭川紋別自動車道でも1頭が確認された。 長野市若穂保科の公民館付近では、午前6時ごろに目撃情報が寄せられた。ほかに、新潟県内での出没も目立ち、村上市小川(朝日地域)では午前7時過ぎ、民家付近で柿を食べているクマが、新発田市蔵光では午前9時半ごろ、田んぼの中にいる子グマがそれぞれ確認された。同県内では前日の22日にも、五泉市で柿の木に登るクマや南魚沼市での目撃が報告されている。

 クマはこの時期、冬眠に向けた栄養蓄積のため食欲が旺盛で、エサを求め、行動範囲を広げる傾向がある。特に、民家の庭先に残された柿や生ゴミは強い誘引物となる。各自治体は、早朝や夕暮れ時の外出を控えることや、屋外にある不要なゴミや果実・野菜の撤去、子グマを見かけても親グマが近くにいる可能性が高いため、絶対に近づかないことなど、厳重な警戒を呼びかけている。

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