巨人・浅野翔吾外野手が24日、21歳の誕生日を迎え、“長野魂”の継承と来季4年目の大きな飛躍を期した。23日に行われた長野久義氏(40)の引退セレモニーに参加し、本人からエールも受けた。

誰からも愛される選手を目指す決意を新たにした背番号51が、まずは開幕スタメンの座を射止め、21歳を覚醒の年にする。

 奮い立たないはずがなかった。21歳の誕生日を迎えた浅野の心は熱くたぎっていた。23日、長野氏の引退セレモニーに参加。尊敬する先輩から激励を受けていたことを明かした。

 「昨日(23日)、長野さんと握手をした時に、胸の辺りをたたかれて、『頼むぞ』と。そういうこともあったので改めて頑張りたいと思いました」

 卓越した技術や知識だけでなく、プレー以外の面でも大きな影響を受けてきた。「1軍でも2軍でも、どこにいても人柄も態度も変わることなく、同じ長野さんですごい」とリスペクトする。常に気にかけてくれたこともうれしかった。「普段から『最近どう』と声をかけてもらったりしてありがたかった」と感謝は尽きない。

 誰からも愛されている姿を、改めて目に焼き付けた。「あれだけの引退セレモニーをしてもらえるのは、なかなかないと思いますし、あれだけ愛される選手になるのは難しいこと。

見習いたいし、後輩たちのためにも優しい先輩の姿も身につけたい」。結果はもちろんのこと、みんなから慕われた振る舞いでも、“長野イズム”を受け継ぐ。

 活躍することが恩返しにもなる。3年目の今季は開幕1軍を逃すと、打撃不振で一時は3軍も経験した。29試合出場で打率1割8分7厘、2本塁打、8打点と苦悩。「20歳をいい一年にしたかったけど、しんどかった。21歳はいい一年に。悔しいことよりもうれしいことが多い一年にしたい。1軍で活躍することが一番」と飛躍の誓いを立てた。

 最初の照準は来年3月27日のシーズン開幕戦になる。「まず開幕スタメンを?」との問いに「そうだと思います」と視線を鋭くした。ドラフト制で入団した66年以降、高卒4年目以内での開幕スタメンは、巨人では吉村、松井、坂本、岡本の4選手だけ。

高いハードルを乗り越えて、充実の年を刻んでいく。

 外野の争いは激しい。球団が残留交渉に臨む方針のキャベッジのほか、丸、中山、若林、佐々木らと競うことになる。G球場で自主練習を行った浅野は「課題は分かっているので、向き合って厳しくやっていきたい」と語気を強めた。長野氏からの期待を胸に殻を破る。(宮内 孝太)

 ◆長野氏と浅野 浅野がプロ1年目だった23年7月に1軍デビューを飾ると、右翼守備の際にスパイクが人工芝に引っかかって前方に転倒。翌日に長野氏からスパイクを譲り受け、対策を講じた。同年オフには長野氏が「若いうちは長いバットを扱えるようになった方がいい」と助言し、長尺バットを導入した。

編集部おすすめ