◆プロボクシング ▽WBC世界バンタム級(53・5キロ以下)王座決定戦12回戦 〇同級2位・井上拓真(判定)同級1位・那須川天心●(24日、トヨタアリーナ東京)

 WBC世界バンタム級新王者・井上拓真(29)=大橋=が、同級1位・那須川天心(27)=帝拳=との同級王座決定戦の勝利から一夜明けた25日、横浜市の所属ジムで会見。試合後の、天心とのやり取りを明かした。

 両者は試合後の記者会見後、控室の前で対面し、言葉を交わした。互いに「パンチがこんな感じで当たらなかった」などと試合を振り返った後、天心が「最後に一発蹴ってもいいですか?」と冗談を言われ、拓真は「それだけは勘弁して」と返したという。

 天心とは、9月の試合発表会見、試合3日前の公式会見でも一度も目を合わすことがなかった。だが試合後は、健闘をたたえ合い、笑顔で雑談した。

 「やっぱり試合前っていうのはお互いピリついた状態なんで、ああいう感じになるのは当たり前。終わればお互いたたえ合ってやるのがやっぱりスポーツだと思う。本当にそこもスポーツの良いところだなっていうのは感じますね」

 キック無敗でボクシングに転向し、無敗のまま世界王座挑戦に駆け上がった天心は、井上兄弟を「ボクシングそのもの」と称していた。

 「周りはやっぱり、自分がボクシング代表、みたいな雰囲気だった。自分がここでボクシング界を守るといったら変だが、そういう意味合いになるように、周りのファンが仕立てているのかなとは感じましたね。自分もそこに色々プレッシャーもありましたけど、申し分ない相手でした」

 試合会場では、天心にも負けない大声援が拓真に浴びせられた。

 「天心サイドに負けないぐらいに自分のコールが大きかったんでびっくりしましたし、本当にその声援が力になりましたね」

 一瞬たりとも気が抜けない12ラウンドを戦い抜き、「全部集中して淡々とやったのは今回初めてかもしれないですね」と振り返る。その要因を、拓真は「やっぱり相手が天心選手だからっていうのが一番大きいですね」と話した。

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