◆プロボクシング ▽東洋太平洋スーパーウエルター級(69・8キロ以下)タイトルマッチ10回戦 王者ワチュク・ナァツ―同級14位・緑川創(27日、東京・後楽園ホール)

 元キックボクシング世界王者で東洋太平洋スーパーウエルター級14位の緑川創(38)=EBISU K’s BOX=が27日、ボクシング転向5戦目でタイトルに初挑戦する。26日は都内で前日計量が行われ、緑川が69・7キロ、同級王者ワチュク・ナァツ(28)=八王子中屋=が69・5キロでクリアした。

 37歳でボクシングデビューし、わずか1年1か月と異例のスピードでタイトルに挑む緑川は「早いとは思うが、体力、年齢的にもありがたいなという気持ちがある。今やっているボクシングが通用しないとは思ってない。十分勝てる見込みもあるなと思う」と自信をみなぎらせた。

 18年間のキックのキャリアでは、新日本キック・ウエルター級王座、WKBA世界スーパーウエルター級王座を獲得。タイトルマッチの大舞台を何度も経験してきた。「(キックのタイトル戦と)気持ちはあまり変わらない。今まで通り。もう格闘技だけでも90戦を超えてきて(通算94戦目)、いつも通り試合をする。ただ相手が強いチャンピオン、っていうだけです」と落ち着いた表情。「ナァツ君も気持ちが強いと思うので、お互い意地と意地のぶつかり合いで、色んな駆け引きがあるんじゃないかなと思う」と試合展開を思い描いた。

 キック引退から4か月後の23年6月に長男・路唯(ろい)くんが誕生。「チャンピオンになってベルトを巻いた姿で、息子をリングに上げたい」とボクシング転向を決意した。

「倒せて勝てたら理想だが、その中でもボクシングを楽しみながら勝つことが大前提。そして、ベルトを巻いて長男をリングに上げたい」。王座を獲得し、父親としての夢をかなえる。

 所属ジムの加山利治会長(53)は「本当にもうベテランなんで、ちゃんと自分で分かってて試合もできると思いますし、相手が強くても淡々と試合できる。面白い試合になると思う」と王座獲得への期待を口にした。

 王者のナァツは、7月の左右田泰臣(EBISU K’s BOX)との王座決定戦に続き2戦連続でキック出身選手との対戦。「コンディションはいい。相手がキックボクサーだからとかじゃなく、シンプルにボクシングをやる感覚でやろうと思っています」と意気込んだ。

 24日にはWBC世界バンタム級王座決定戦で井上拓真(大橋)がキック王者出身の那須川天心(帝拳)を判定で下すビッグマッチがあったばかりだが「シンプルに、俺も負けてられないなと思いますよね」と話し、「スピードで圧倒したい。KOで倒したいが、(緑川は)めちゃくちゃ打たれ強いと思うんで、判定では圧倒的な差で勝ちたい」と完勝宣言。「日本のベルトも、WBOアジアパシフィックのベルトも欲しいんで、勝って次につなげる試合をしたい」と今後の展望も描いた。

 戦績はナァツが9勝(4KO)4敗2分け、緑川が4戦全勝(3KO)。

 ◆緑川 創(みどりかわ・つくる)1986年12月13日、東京都生まれ。38歳。高校時代は野球部に所属。高校3年の11月にキックボクシングを始め、新日本キックの中量級エースとして活躍。第8代新日本キックボクシング協会ウエルター級王座、WKBA世界スーパーウエルター級王座を獲得。キックの戦績は89戦57勝(25KO)20敗10分け2無効試合。23年2月のキック引退後、ボクシングに転向し24年10月にB級(6回戦)デビュー。身長171センチの右ボクサーファイター。

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