将棋の羽生善治九段(55)が26日、第19回朝日杯将棋オープン戦2次予選で千田翔太八段を破り、公式戦通算1600勝(731敗、勝率6割8分6厘)を挙げ、自身の最多記録を更新した。

 終局後、「40年間やってきた積み重ねが一つの形になって良かったなと思います。

一つ一つ勝っていくのが非常に大変なので、その積み重ねで達成できて良かった」と喜びを口にした。歴代2位は大山康晴十五世名人の1433勝、3位は谷川浩司十七世名人の1406勝と続く。

 史上3人目の中学生棋士として1985年にプロ入り。驚異的な速さで白星を重ね、96年には史上初の七冠(=竜王、名人、王座、王位、棋聖、棋王、王将=当時)独占。2007年には史上最年少、最速で1000勝に到達。19年6月には大山の記録を抜き、22年6月には前人未到の1500勝を達成した。

 しかし、それから1600勝までの3年半は苦労が多かった。23年6月、日本将棋連盟会長に就任し、多忙を極めた。今年3月には順位戦でB級2組に降級。年度勝率は5割を切った。4月からの新年度も指し続けるのか、「進退」に注目が集まるほどだった。

 4月1日に会長退任を発表。

「まだ50代。棋士として頑張りたい」と意欲を見せた。以降は18勝14敗と勝率5割を超える。7月には王座戦で第72期王将戦(23年1月開催)以来のタイトル挑戦権をかける挑戦者決定戦に進出。敗れはしたものの、8月中旬からの2か月は負けなしの5連勝と実力を発揮した。

 この日の対局では本田奎六段、千田八段に連勝。2局とも序盤から時間を使いながらも丁寧な指し回しをみせた。午前中の本田戦では持ち時間(各40分)を使い切ってからの1分将棋で逆転した。

 タイトル獲得は史上最多の99期。大台まであと1期から7年がたつ。若手が台頭する将棋界だが、未踏の荒野を歩むレジェンド棋士にとって、勝利への執念が衰えることはない。

 〇…この日の朝日杯では連勝し、7期ぶりの本戦出場が決定。

「本戦まで行けたのは久しぶりなので張り切って臨めたら」と意気込んだ。第9回(2015年度)以来、6度目の優勝を目指す。

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