俳優の井上芳雄が27日、都内で行われた舞台「大地の子」(2月26日、明治座で開幕)の製作発表会見を行った。奈緒、上白石萌歌山西惇益岡徹らも出席した。

 「白い巨塔」や「沈まぬ太陽」でも知られる山崎豊子さんによる同名小説を原作に初舞台化。戦争孤児となった少年が、中国人教師に拾われ、中国人「陸一心」として育てられる。陸一心の波乱万丈の半生を描いた物語。

 主人公・陸一心(松本勝男)を演じる井上は冒頭、「(この作品の製作発表では)見えない重責のようなものを感じる。大事なことを伝えなければ。なかなか難しい時代になってきている。過去のことを知ることは未来を知ることだと思う」と昨今の世界情勢を背景にあいさつした。

 また、若い世代の観客に、自分事として戦争を題材とした本作をとらえることを促し、「少なくとも同じこと(戦争)を繰り返すべきではない」とメッセージをのこした井上。奈緒も「想像し続けることが平和と祈りを守り続ける」と語った。

 上白石は「与えられた役をかみしめながら生き抜きたい」と力を込め、山西は「大変な時代。こういう物語がまずは来年2月、3月にきっちり上演できたら。すごい作品になる予感しかない」と話した。

 会見会場では壮大な映像によるプロモーション映像が流れ、井上は「今日はじめて見た。『あれ、俺中国行ったかな?』と思ったんですけど、南房総で撮りました」と説明した。

 95年の「大地の子」のテレビドラマでは今月8日に亡くなった仲代達矢さんが演じていた松本耕次役を舞台で演じる益岡は「仲代さんがやった役を自分がやることについてある種の高ぶりを感じている。見てもらいたかった。報告もできなかったことが残念」としみじみ語った。

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