◆明治安田J2リーグ 第38節 磐田2-1鳥栖(29日・駅スタ)

 ジュビロ磐田が大逆転でJ1昇格プレーオフ(PO)進出を決めた。アウェーで鳥栖に2―1。

後半22分、DF松原后(29)の得点で先制し、同点を許した直後の同45分にはDFリカルドグラッサ(28)が値千金の決勝弾を放り込んだ。試合前時点で圏外の7位だったが、敗れた大宮、仙台を抜いて5位(19勝7分け12敗、勝ち点64)に浮上。PO初戦は12月7日、敵地で徳島と対戦する。

  土俵際で踏みとどまった。負けたら終わりの背水の陣。ジュビロは誰一人諦めることなくドラマを演じ切った。夕日が映える敵地に駆けつけた800人のサポーターと喜びを分かち合った安間貴義監督(56)は「選手は果敢に戦った」と拍手した。

 地獄から生還した。後半43分に失点。ドローでは7位からはい上がれない状況で、グラッサはセンターバックから一気に最前線へ。同45分、ロングボールの流れからFWペイショットのパスに反応し、左足を振り抜いた。「最後まで諦めない姿勢があのゴールを生んだ」。

在籍4年目の背番号36はユニホームを脱ぎ捨て、スタンドへ猛ダッシュした。

 356日前の苦い記憶を振り払った。昨季も最終節(12月8日)を駅スタで迎え、0―3の完敗で4度目の降格が決まった。同戦後、大粒の涙をこぼしていた松原は今試合の前日、宿舎近くの神社に1人お参り。「俺が勝たせる」と決意を固めた。チャンスが来たのは後半22分。右CKの流れから頭で先制弾をねじ込んで思いを遂げた。

 チームとしても確固たる形ができあがった。安間監督は就任以降、先発とベンチの役割を明確化してきた。前半はアグレッシブな守備を命じ、スコアレスで我慢。後半は「ペイショット軍団」と命名した190センチの大砲を中心とした手札を次々切り、流れを呼び込んできた。「しっかり仕事をしてくれた」と指揮官。

就任以降は5勝1分け1敗でJ1への挑戦権を手中に収めた。

 PO初戦でぶつかる徳島には安間体制唯一の黒星(0●4)を喫している。それでもGK川島永嗣主将(42)は「1回やっているだけにイメージしやすい」と前向きに捉える。J1復帰まであと2勝。サックスブルーの挑戦は続く。(武藤 瑞基)

編集部おすすめ