今年度の映画賞レースの幕開けとなる「第50回報知映画賞」の各賞が1日、発表された。「国宝」の李相日(り・さんいる)監督は23年ぶりの作品賞&監督賞のダブル受賞となった。
「国宝」は映画賞レースの大本命。当然、李監督も承知の上で「正直、ホッとしました。周りに何と言われようと、結果はどうなるか分からないので、注視していました」。喜びより、安堵(あんど)の表情で率直な心境を明かした。
作品賞と監督賞のダブル受賞は2002年、山田洋次監督の「たそがれ清兵衛」以来、23年ぶりの快挙。李監督の作品賞は「フラガール」(06年)、「悪人」(10年)に続く3度目、監督賞は「怒り」(16年)に続く2度目。いずれも報知映画賞50回の歴史で最多タイとなる。「報知映画賞は、その後の賞レースの流れを決める存在として影響力がある。ありがたいです」と感謝の思いを込めた。
当初の予想を大幅に超える大ヒットの要因は何なのか。「あくまで仮説です」と前置きした上で「シンプルに美しい映画を目指して作りました。不安や緊張を強いられる現代社会の人々が、本能的に美しい物を求めて、心が浄化されることに心地よさを感じてくれたのではないか」と分析。
明確な答えを提示せずに、適切な演技を俳優本人に見つけさせるのが李監督の演出法だ。「自分でたどり着いた答えは強いんです。方向性は伝えますが、最終的な着地点は自分でその地を踏まないと、自分のものにならない」。歌舞伎のシーンでは、主人公・立花喜久雄役の吉沢亮に女形としての芸を習得させ、さらに喜久雄の感情を乗せるという極めてハイレベルな「心と体の同期」を要求。潜在能力を引き出した。
歌舞伎に関心があり、「国宝」の原作小説(吉田修一著)が発表される以前から女形の映画を構想して約15年。「火種が消えずに、たくさんの方々との出会いで、松明(たいまつ)となり、大きな炎になった。その過程にもドラマがある。そういう作品はまれ。今後の人生でも、二度と経験できないかもしれない」。日本映画の歴史を塗り替え、歌舞伎ファンの拡大にも貢献。
◆国宝 任侠の家に生まれた立花喜久雄(吉沢亮)は上方歌舞伎の大物俳優・花井半二郎(渡辺謙)に引き取られ、部屋子となる。血筋が重視される歌舞伎の世界で半二郎の息子・大垣俊介(横浜流星)としのぎを削り、女形として芸に生涯をささげる。
◆李 相日(り・さんいる)1974年1月6日、新潟県生まれ。51歳。大学卒業後、日本映画学校で学び、卒業制作の「青 chong」が2000年のぴあフィルムフェスティバルでグランプリなど4部門を受賞してデビュー。06年の「フラガール」で報知映画賞作品賞、日本アカデミー賞最優秀作品賞などを受賞。ほかに「悪人」(10年)、「許されざる者」(13年)、「怒り」(16年)など。
▼監督賞・選考経過 満場一致で李監督に決まった。「役者2人をとことん使い切った。役者もそれに応えた。
◆選考委員 浅川貴道(読売新聞文化部映画担当)、荒木久文(映画評論家)、見城徹(株式会社幻冬舎代表取締役社長)、藤田晋(株式会社サイバーエージェント代表取締役)、松本志のぶ(フリーアナウンサー)、YOU(タレント)、LiLiCo(映画コメンテーター)、渡辺祥子(映画評論家)の各氏(五十音順)とスポーツ報知映画担当。
◇おことわり 見城徹委員は、自身が製作総指揮した「栄光のバックホーム」がノミネートされた全部門の選考と投票を棄権しました。

![【Amazon.co.jp限定】鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 豪華版Blu-ray(描き下ろしアクリルジオラマスタンド&描き下ろしマイクロファイバーミニハンカチ&メーカー特典:谷田部透湖描き下ろしビジュアルカード(A6サイズ)付) [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/51Y3-bul73L._SL500_.jpg)
![【Amazon.co.jp限定】ワンピース・オン・アイス ~エピソード・オブ・アラバスタ~ *Blu-ray(特典:主要キャストL判ブロマイド10枚セット *Amazon限定絵柄) [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/51Nen9ZSvML._SL500_.jpg)




![VVS (初回盤) (BD) [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/51lAumaB-aL._SL500_.jpg)


