Travis Japanの吉澤閑也(30)の2週連続インタビュー。前編ではグループの代名詞であるダンスや自身が手掛ける振り付けへの思い、新アルバムを引っ提げ、来年1~5月に全国8都市を巡演するツアー「’s travelers」への意気込みを語った。

 写真撮影のため、記者やカメラマンが重い机を動かそうとすると、吉澤はさっと手伝いに入った。こちらが申し訳なさそうにしても「全然、気にしないでください!」。優しい雰囲気をさらりとまとう、気遣いの人だ。

 ちょっと珍しい名前「閑也(しずや)」は、1990年代の人気ドラマ「静かなるドン」で中山秀征(58)が演じた主人公の近藤静也が由来。「両親がドラマのファンで『しずや』っていいね、静かな子がいいねと思い『閑静』という字から取ったようです。でも、真逆の子が生まれました!」と明るい笑顔がはじける。

 高いダンススキルと個性が集結したパフォーマンスが代名詞のTravis Japanでは、多くの曲で振り付けも担当している。しかし、事務所に入った当初はダンス未経験だった。

 「基礎がないことに対してジュニアの先輩にきつく言われたこともあって、『実力をつけて、その人よりも前で踊るようにならなきゃいけない』と、ある種の反骨精神もありました。振り付けも当時ジュニアでする人が少なかったので、自ら振り付けを考える方が自分の身になるし、(グループ結成後は)メンバーのためになるかなという思いで始めました」

 ジュニア時代は「振付師に怒られたことがない」という“伝説”も。先輩のバックにつくライブでは、出演パート以外の振り付けも頭に入れ、「目立ちたいとかではなくて、病欠やけがしちゃった子の代打でどこにでも入って対応できるように『とりあえず全曲覚えておこう』の精神でした」。並々ならぬ努力で“スーパーリベロ”と称された。

 それでも、ダンスに対しては常に謙虚だ。「今でも得意だとは思っていないです。アイドルとして魅せるために必要な技術として、ある程度のスキルを持っていなきゃいけない、という気持ちで続けています」と冷静で堅実なプロ意識をのぞかせる。

 シンプルにダンスを「好き」と表現しない。「自分よりも宮近(海斗)とか、ダンスが好き!っていうエネルギーであふれているメンバーが近くにいるからかな」。振り付けへの思いを語ると、自然と言葉が躍った。

 「僕の場合は、踊る側として『こういう動きがしたい』ではなく、『ファンの方たちやダンス好きな人から見て、こう動いたらかっこいいと思ったり驚いたりしてくれるのかな』と俯瞰(ふかん)や客観で作っている。自分の振り付けをメンバーが踊ると、それぞれの味が加わって面白いです」

 グループは、3枚目アルバムとなる「’s travelers」を3日にリリースし、来年1月から全国ツアーに挑む。

 「どの年代の方が聴いても、見ても面白いアルバムやライブになると思います。技術面でみんな(パフォーマンスが)上手なのはあるけど、いろんな色に染まれてどのジャンルも踊れるのが7人の魅力。曲のテンション感や歌詞の細かな意味まで、ダンスで表現できるのが、唯一無二の強みだと、僕は思っています」。Travis Japanであることの自負と、閑かな情熱が胸いっぱいに満ちている。

(ペン・奥津 友希乃)=後編に続く=

 ◆吉澤 閑也(よしざわ・しずや)1995年8月10日、神奈川県出身。30歳。2009年、事務所入所。12年にTravis Japanのメンバーに選ばれ、22年に配信シングル「JUST DANCE!」で全世界配信デビュー。メンバーカラーは黄色。血液型A。

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