ドイツ・ブンデスリーガのブレーメンでプレーする日本代表DF菅原由勢が、同リーグ主催のラウンドテーブルに参加し、“サイドバック論”について明かした。ブレーメンでは4バックの右サイドバックに定着し、充実のシーズンを送る25歳は「現代のサッカーでは、サイドバックに限らず、各ポジションで運動量が増えている。

センターバックでも、守ればいいっていうわけでもないし、FWも点を取ればいいってわけでもない。サイドバックもDFですけど、じゃあ守っていたらいい、ってわけではない。各ポジション(に求められる)の運動能力は、すごく変わってきているとものすごく感じます」と、仕事の多様化について語った。

 菅原は今季、英2部相当のサウサンプトンからブレーメンへ移籍し、リーグ戦では11試合で3アシストをマークするなど活躍中。今季のプレーについては「攻撃的な部分の強みを持っている選手だと思っているので。3アシストは、ちょっと物足りない部分もある。シュートも打っていますけど、まだ(ブレーメンでは)点は取っていない。そこは練習の中で、常に意識しながら、クオリティーにこだわりながらやっていけば、数字はついてくるという自信はある。目に見える数字としては残していく必要がある」と話した。

 攻撃面ではオーバーラップからのクロスだけではなく、ゴール前でのシュートシーンにも関与することも仕事のひとつ。さらに守備では、相手の強力なウインガーを抑え込む、という仕事をこなしつつ、だ。

 「サイドバックは攻守両面において高い水準を求められる。

攻撃なら何本クロスを上げて、何本仕掛けて、何本シュートを打って、何本攻撃的なところで関わっていけるかをすごく求められる。守備でも、攻撃に行きながらも一番最初に戻らなきゃいけない。相手の左ウィングには、(各チーム)素晴らしい選手がいる中で、1対1で負けていたらダメ。数的不利な状況でも、どうにかして守っていかなきゃいけない」

 しかし、そんな環境に身を置くことが、自身を成長させる糧となっている。「それが、今の自分を充実させている理由なのかな。攻撃も守備も、やることがすごく多い中で、毎試合のように違った課題が上がってくる。選手として成長したい、と思っていることに対して、課題はものすごく大事。それが自分を成長させている、と改めて感じる部分でもある。非常にサイドバックという仕事を、楽しみながらやれていますね」とうなずいた。

 一方で日本代表では、基本フォーメーションが3―6―1で、菅原が現在ブレーメンでつとめる4バックのサイドバックというポジションはない。22年カタールW杯が終わり、第2次森保ジャパンが発足した直後は4バックを採用し、その右サイドバックを主につとめていたのが菅原だった。23年9月にドイツ戦で4―1と快勝した試合では、右サイドでの縦突破からのクロスでMF伊東純也の先制点をアシストするなど、攻撃面で大きな存在感を見せていた。

しかしその後、アジア杯などを経てフォーメーションが変わり、3バック(5バック)が基本布陣に。W杯に向けたアジア予選では、右ウイングバックには主にMF堂安律、伊東純也という攻撃的な選手が起用され、菅原は招集メンバーから外れる時期もあった。

 「代表はフォーメーションが違うので、自分が求められていることも違うし、何をチームのためにしなきゃいけないのかも違う。代表での立ち位置に関しては、結局自分の実力が足りていなかった、という結論になる。僕自身も(最終ラインが)4から5枚に変わる時には、自分自身のレベルの低さというか、もっと自分が圧倒的なパフォーマンスを見せていれば、変わらなかった可能性もあるんじゃないか、とは思う」

 自身に矢印を向け、悔しさをにじませた菅原。それでも「最後に自分が、絶対に必要な時にピッチに立っている、という自信というか、結局最後に自分がそこ(W杯のピッチ)にいるだろうなと思いながら、毎日トレーニングしているし、トレーニングの量も増やしている。だから、今は難しい立ち位置なのかもしれないけど、自分のやるべきこと、目指すべき場所は全く変わらない。今はただ、自分にむち打って、厳しくやるだけですね」と語った。

 守備で最終ラインを4枚で守る役割を担いながら、攻撃参加でゴールにも関与する、というプレーがサイドバックの醍醐(だいご)味。3バック時はウィングバックも務める菅原だが、そのダイナミックな持ち味がより発揮されるのは、やはり4バックか。北中米W杯まで残り半年間。現在の森保ジャパンは、試合の状況に応じて3バック、4バックと使い分けることを理想としている。

森保監督に4バックを採用させるほどの活躍をブレーメンで見せれば、おのずとW杯でのメンバー入りも近づいていく。(金川 誉)

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