日本発のグローバルグループ「&TEAM」のKがこのほどスポーツ報知などの合同インタビューに応じ、大きく飛躍した今年一年を振り返った。

 Kは今夏、「東京2025世界陸上」のTBS世界陸上応援サポーターに抜てきされた。

グループでは日本3枚目シングル「Go in Blind(月狼)」、韓国デビュー作「Back to Life」がそれぞれミリオンとなり、日韓両国で達成した初の日本アーティストに。勢いそのままに日本レコード大賞の「特別国際音楽賞」、大みそかの「第76回NHK紅白歌合戦」(後7時20分)の初出場を決めた。

 怒とうの活躍に「1年前の年末年始は家族で過ごさせてもらって、寂しい気持ちもあった。たくさんの結果でLUNE(ファンネーム、Eはエキュート・アクセントを付したもの)の皆さんに恩返しできた」と感無量。「僕らは日本のチームなんですけど、今年は『もっともっとたくさんの方に知っていただこう』という気持ちでした。日本の伝統的なものに出られてすごくうれしい」と語る。

 グループとしての転機は「Go in Blind(月狼)」のミリオン認定。4月に発売されたが、3か月かけてミリオンを記録した。「『僕たちでもできるかもしれない』という自信がチームとしての活気につながって、徐々に自信になっていったのは、シングルでミリオン認定をいただいてから。今までどこか自信なかったのが、一つ一つのチャンスをLUNEの皆さんのおかげでものにして自信につながった」と成長を実感する。

 個人的な転機は、23年10月にTBS系「オールスター感謝祭」での赤坂5丁目ミニマラソンでの初出場初優勝が世界陸上の仕事につながったこと。「世界陸上から韓国デビューまで本当に濃くて毎日忙しい思い出になった。

音楽番組をあまり見られない方々の層にも&TEAMという名前が知れ渡ってすごくうれしかったですし、僕が個人で活動する理由はチームのため。それが少しでも還元できたならうれしいです」と語った。

 世界陸上の現場を通して得たのは「対応力」だという。「アーティストといえど、舞台(パフォーマンス)だけ上手ければいいわけではない。求められるものを瞬時にくみ取って言葉にすることを『世界陸上』で鍛えられた。織田裕二さんの背中を見ながらたくさん学ばせていただきました」

 世陸のレジェンド・織田裕二へのリスペクトは強い。「見ている方に陸上への愛を届けること。本当に陸上を愛していて、東京大会のためにもう一度勉強されてきたと思いますし、要所要所でタイムや前日の調子や調整の動きをメモしている。強い刺激になって、僕も頑張ろうという気持ちでやらせていただけた」。プロ意識を大いに高められたという。

 充実の一年は、初の紅白で締めくくる。「本当にすばらしい機会。

初出場ということですごく大きい枠をいただけるわけではないけないと思いますが、どんなものでさえチャンスに変えたい。(視聴者が目にする時間が)1分だけでも、その1分で『日本にこんなに舞台に真摯(しんし)なチームがいるんだ。こんなに一生懸命音楽をやっているチームがいるんだ』という気持ちを伝えられるようにしっかり準備していきたい」と意気込む。

 大ファンのレジェンドアーティストとの“競演”にも胸を躍らせる。「音楽を始める前からずっと聴いていたのが久保田利伸さん。インタビューでも『久保田利伸さんが大好き』と言っていたんですけど…。本当に僕はめちゃくちゃ運がいいんです」と紅白でともに白組歌手として名を連ねたことにワクワクが止まらない。「すごく久しぶりに出場されるということで、生で拝見させていただきたい。めちゃくちゃ音楽が好きなんだなって伝わってくる。そのグルーブが大好きで、その瞬間だけ客席から見たい」とファンの顔に戻った。

 紅白の司会を務める今田美桜も今夏の世界陸上でアンバサダーを務めており、久々の再会。「すごい光栄なこと。

一番は織田裕二さんに見てもらいたい。織田さんが『世界陸上』を始めたのが1997年で、僕と今田さん、1997年生まれの2人が今回の大会でサポートをさせていただいた。『感慨深い』と織田さんもおっしゃっていたので、僕らの頑張りを織田さんに見届けてほしい」と言葉に力を込めた。

 今年を表現する一文字は「蕾(つぼみ)」に決めた。「周りの方は『よく頑張った』と言ってくれるけど、調子のいい時こそ足元が緩むと僕がマラソンをやっていた時に尊敬する監督に言われてまして…。目の前のことに一生懸命になって、謙虚な姿勢で何事にも全力でやるっていうことを忘れず、という意味もありますし、来年以降この蕾が膨らんでいって、大きい花を咲かせられるような準備の年だった。大成功した時に『あの年があったから』と言えるような年にします」とあくまでも低姿勢だ。

 来年の抱負について「僕が最初に世に出た韓国でのオーディションのときにファンになってくださった方が世界中にいらっしゃる。そういう国や地域に僕たち&TEAMが行けたら。まだ予定はありませんが、ワールドツアーができる日が来たらそれはめちゃくちゃうれしいです」。「Japan to Global」を合言葉に活動してきた&TEAMとして、さらにワールドワイドに魅力を拡大するつもりだ。

 「ミリオンアーティストになる」「韓国の音楽番組で1位を取る」。

Kは公の場で目標を口に出し、言霊を現実に変えてきた。

 「僕は運動をやっていたときから無謀なことを書いてきた。高校に行く時は陸上の名門校ではなくて、尊敬する監督さんが赴任する無名の学校に賭けようと思って進学したんです。3年間書き続けた練習ノートの一番最初に『全国大会出場』という目標を書いて、部室の前にも『都大路(全国高校駅伝)出場!』と太ペンで書いたものを貼って毎日『お願いします』と言って練習を始めてきた。そしたら関東大会で優勝して都大路に行けて…。わりと無謀なことに挑戦する方ですし、だからこそ、そのための努力をめっちゃするんだと思います」

 生まれ持った才能に加えて、努力する才能を持っていた少年は、8人の仲間と出会い、切磋琢磨(せっさたくま)しながらグローバルアーティストへの階段を上っている。めまぐるしい一年の締めくくりはどう迎えるのか。「去年の年越しは家族でしたが、その前はずっとメンバーと一緒でした。特にTAKI、EJ、NICHOLAS、僕の4人は練習生生活が長いんですけど、ずっと一緒にいました。僕は0時ぴったりになった瞬間にジャンプするんですけど。今回はメンバー全員とスタッフの皆さんと一緒にやりたいですね」。大ジャンプから始める2026年は、今年以上の飛躍を見せるつもりだ。

(宮路 美穂)

 ◆K(ケイ)1997年10月21日、東京都出身。28歳。グローバルデビュープロジェクト「&AUDITION―The Howling―」を経て、22年に「&TEAM」を結成。同年12月に「First Howling : ME」でデビュー。チームの最年長でダンス、ボーカルのスキルが高く、グループ内ではパフォーマンスリーダーを担当。身長186・5センチ。

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