歌舞伎作品「法界坊」の大詰として知られる舞踊「双面(ふたおもて)」を現代のダンス・パフォーマンスとして再構築する『双面ディレイ』が16日、東京・墨田区東向島のユートリヤ(すみだ生涯学習センター)マスターホールで開幕する。

 多方面で活躍するハラサオリが振付・演出を担当し、モテギミユ、山田茉琳と新しいダンスを創作。

常磐津(ときわづ)節の常磐津和英太夫(わえいだゆう)による伝統的演奏と、ジャズプレーヤーで作曲家の大谷能生による現在の最新サウンドをミックス。落語家の金原亭小駒らによる茶番「象のサーカス」も間狂言として登場し、江戸時代の隅田川を背景にした古典と現代パフォーマンスが交差する未知の世界に観客をいざなう。

 公演を前に発表会見が11日までにすみだ北斎美術館で行われ、ハラサオリは「近年、芸術表現でもジェンダーやクィアなどの視点が注目されるが、歌舞伎の表現はある意味、それを先取りしている。歌舞伎のまねをするつもりはなく、この強じんなモチーフに私たち3人のダンサーがどう対峙するか。創作中です」とコメント。常磐津和英太夫は「今回はまったく未知数の座組でどうなるのか楽しみ」と話すと、ジャズで融合を図る大谷は「常磐津の原作を参照して曲もダンスも創作するが、単なる置き換えではない、いま現在の表現になるはず」と話した。

 「今回は作品世界と現実をつなぐ間狂言として参加する」という金原亭小駒も「象のサーカスという明治期に出来たと思われる茶番(コント)があり、それを公演用にアレンジして観客を作品世界にいざないます。象が出ますのでご期待下さい」とコメントした。公演は16日、17日の2日間、行われる。

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