12日の金曜ロードショー(後9時)は、ディズニーアニメの「ウィッシュ」(2023年)が登場。ディズニーの100周年記念作品として製作された同作は、ヒロイン・アーシャの日本語版吹き替えを乃木坂46の元メンバーで、現在はミュージカル女優として活躍する生田絵梨花、「ディズニー史上最強のヴィラン(悪役)」とも称されるマグニフィコ王を福山雅治が務めたことでも話題となった。

 物語の舞台は、魔法の国・ロサス。この国では18歳になると自らの願いを魔法使いでもあるマグニフィコ王に預け、順にかなえてもらう月に一度の儀式が行われていた。17歳の少女・アーシャは、なかなか順番が回って来ないまま100歳になった祖父・サビーノの願いをかなえてもらうために、王の従者となることを目指す。

 従者の試験を受けたアーシャだったが、その最中にマグニフィコ王が実は国民の願いを操り、国を支配していたことを知る。みんなの願いを取り戻したいと夜空に強く思うアーシャ。すると、空から「願い星」のスターが舞い降りて来る。スターの力を借り、アーシャは仲間と共にマグニフィコ王との”対決”に臨む。

 あらすじを見ても分かるように、物語のテーマの一つは「夢は誰かにかなえてもらうのではなく、自らの力でつかむもの」ということ。それが序盤も序盤のうちに分かってしまうのでネタバレになってしまい、物足りなく思う人もいるかもしれない。ただ、結末は分かっていても、ディズニーならではの美しい映像と音楽は、エンターテインメント作品として楽しむことができるだろう。

 さらに、今作は前述の通り「ディズニー100周年記念映画」と銘打たれているだけあって、過去作のオマージュがちりばめられている。その数は100か所以上とも。

ネタバレになってしまうが、中でも記者が最も「なるほど」と思ったのは、アーシャと共に戦う仲間たちだ。

 アーシャが相談相手として信頼するしっかり者・ダリアをはじめ、その人数は7人。そう、「白雪姫」に出てくる小人の数と同じとなっている。しかも、両作品のキャラクターを見比べてみると…(矢印の前が本作、後ろが「白雪姫」の名前、カッコ内は英語名のつづり)。

 ・リーダーのダリア(Dahlia)→先生(Dog)

 ・ぼんやりしているサイモン(Simon)→ねぼすけ(Sleepy)

 ・イライラしているガボ(Gabo)→おこりんぼ(Grumpy)

 ・お調子者のダリオ(Dario)→おとぼけ(Dopey)

 ・鼻をムズムズさせているサフィ(Safi)→くしゃみ(Sneezy)

 ・陽気なハル(Hal)→ごきげん(Happy)

 ・恥ずかしがり屋のバジーマ(Bazeema)→てれすけ(Basuful)

 どうだろうか。名前の頭文字に加えて、性格まで見事なまでに合致している。他にも分かりやすいものから”マニア向け”のものまで、幾つ見付けられるかというのも楽しみ方の一つだろう。

 ところで、アーシャが試験を受けに行った際のマグニフィコ王のセリフで「なるほど、それは興味深い」というものが出てくる。これは、放送局は違うが、フジテレビ系の人気ドラマ「ガリレオ」で福山演じる主人公・湯川教授の口癖を”オマージュ”した翻訳か? と思ったのだが、元のセリフを聴いてみると「Okay,that’s interesting.」と話していた。意識はしているかもしれないが、ほぼ直訳でした…。(高柳 哲人)

編集部おすすめ