カーリング ミラノ・コルティナ冬季五輪最終予選(10日、カナダ・ケロウナ)

 女子のプレーオフ(PO)で日本代表のフォルティウスがノルウェーとの接戦を6―5で制し、日本女子として1998年長野大会から8大会連続の五輪出場を決めた。5―5で迎えた最終第10エンド(E)に1点追加で熱戦を勝ち抜いた。

スキップ吉村紗也香(33)は自身5度目の挑戦で、初の五輪切符をつかんだ。日本勢の団体競技では、アイスホッケー女子に続く出場権獲得となった。

 ついに悲願の五輪切符をつかみ取った。フォルティウスは5人全員で肩を寄せ合い、「ありがとう、ありがとう」と涙を流しながら喜んだ。5回目の挑戦で夢舞台への切符を手にした吉村は「このメンバーで五輪の出場権を勝ち取ることができて、すごくうれしい。つらい時期も一緒に乗り越えた絆がある。このチームが誇り」と涙をぬぐった。祝福の拍手が降り注がれる中、五輪の地ミラノ・コルティナの方角を意識し、全員で弓矢を射るポーズを取った。

 最後は総力戦だった。ノルウェーは前日の1次リーグ最終戦で今大会唯一、黒星を喫した相手。一進一退で進み、1点を奪えば勝ちとなる最終E。4人のショットがつながった。

セカンドの小谷が、離れて置かれた相手の2つのガードストーン(石)をはじき出し、進路を広げたことで密集戦を狙った相手の狙いをかき消した。最後に難しいドローの失敗を呼び込んで勝利の1点を奪い、吉村は「あれが決まって、自信が持てた」と小谷に感謝した。

 五輪とは縁がなかった。吉村はカーリングの名門、北海道常呂高出身。10代の頃は「クールビューティー」と話題になり、第一線で活躍してきた逸材だ。初めて五輪に挑んだのは高校2年、17歳の時。2010年バンクーバー五輪の出場はかなわず、進んだ札幌国際大、北海道銀行でもトップクラスの実力を持ちながら、4大会連続で届かなかった。

 21年9月の北京五輪国内選考では、ロコ・ソラーレに敗れ、北海道銀行との契約も終了した。引退を考えた選手もいたが、悔しさから「ストロングフィニッシュ(最後に良い結果をつかむという意味)」を合言葉に再び世界を目指した。最終予選で強さを示し、吉村は「覚悟が詰まっていた。諦めないで良かった」と振り返り、「私も五輪でプレーできる」と万感の思いに浸った。

 フォルティウスは、ラテン語で「より強く」という意味。

その名を体現した吉村は「日本のバトンは受け継いだ。金メダルを目指す」と言った。日本として3大会連続メダルと初の頂点へ。夢にまで見た舞台で思いをぶつける。

 ◆フォルティウスの歩み

 ▽11年 「チーム青森」で五輪経験もある小笠原歩、船山弓枝らが中心となり北海道銀行フォルティウスとして創設

 ▽14年 ソチ五輪(5位)に出場後、吉村紗也香と近江谷杏菜が加入

 ▽21年9月 北京五輪国内選考ではロコ・ソラーレに敗れ、18年平昌大会に続き、2大会連続で五輪出場を逃す

 ▽21年11月末 北海道銀行との契約が終了。その後、船山、小野寺佳歩、近江谷、吉村は残り、クラブチームとして再出発。呼び名は「フォルティウス」に生まれ変わった

 ▽25年9月 ミラノ・コルティナ五輪の最終予選代表決定戦で最後はSC軽井沢クに勝って、五輪最終予選の切符を獲得

 ▽同12月 五輪最終予選のプレーオフ第1戦でノルウェーを倒し、悲願の五輪切符をつかんだ

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