11日放送のテレビ朝日系「報道ステーション」(月~金曜・後9時54分)では、ノーベル平和賞を受賞したベネズエラの野党指導者マリア・コリナ・マチャド氏が授賞式の行われるノルウェーの首都・オスロに到着したことを報じた。

 キャスターの大越健介氏は「カリブ海からの決死の脱出劇を経て、栄えあるノーベル平和賞の地、ノルウェーのオスロにたどり着きました。

強権的な自国の政権に対抗して、民主主義による変革を訴えるマチャド氏に対し、オスロは熱狂的な歓迎ムードに包まれました」と報じた上で「ただ、マチャド氏にはベネズエラに露骨な体制転換を迫るトランプ大統領の影が見え隠れします。政治に翻弄されるノーベル平和賞です」と続けた。

 「マチャド氏は(会見で)『自分が今、ここにいられるようにするために、ともに命をかけてくれたすべての人々に感謝したい』と話していましたが、まさに命がけの出国劇だったと言えますね」と話すと「アメリカのメディアによりますと、マチャド氏は船でベネズエラを出国して、オランダ領キュラソー島に渡って、その後は空路でアメリカを経由してオスロに着いたというふうに報じられてますが、このマチャド氏の脱出にアメリカが政治的に関わっているとも伝えられていますけれども、だとすると、トランプ政権の狙いはどこに?」と問いかけた。

 ここで上智大・前嶋和弘教授による「トランプ大統領はカリブ海沿岸の反米政権の筆頭であるベネズエラのマドゥロ政権に否定的で近年で最も強い軍事的圧力をかけている。マドゥロ政権に対抗しているマチャド氏はトランプ大統領にとって互いの利益が一致する良きパートナー。トランプ大統領はマドゥロ政権を倒し、後釜にマチャド氏を据えて親米政権を樹立させたい思惑があるのではないか」という分析が紹介されると、大越氏は「振り返ってみますと、中国の民主活動家・劉暁波氏がノーベル平和賞を受賞した時に中国政府が激怒したことがありましたけれども、今回のマチャド氏の受賞についてもしかりで、ノーベル平和賞というのは時の政治と切っても切れない縁があります」と口に。

 「特に今回は民主主義の旗を掲げるマチャド氏を強権的な政治手法をいとわないトランプ氏が支持をするという複雑な構図になっています。今回の受賞が文句なしのものと言えるかどうか、その見極めにはもう少し時間が必要なのかも知れません」と続けていた。

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