俳優の横浜流星が主演するNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(日曜・後8時)が14日に最終回を迎える。浮世絵師・喜多川歌麿を演じた俳優・染谷将太がこのほど、都内で取材会を行った。

 10か月間に及ぶ撮影を終え「とても濃密で濃厚な時間だった。自分が演じきったことと作品全体が撮り終わった安心感がある」。計算ドリルのような反復練習を続けたことで「天才絵師に見えるように頑張りました」と笑った。

 これまでもアニメーター(2019年前期NHK連続テレビ小説「なつぞら」)、漫画家(2015年公開「バクマン。」)など画力を求められる演技もあったが、本作では「分量が多かったし、求められるレベルも高かった」と回想。本物やプロの絵を使うことなく、染谷が演じながら描いた絵が使用されたが「歴史的な絵を大河ドラマの中で描かせてもらうのは緊張しました。少しでも手が震えると筆先に出てしまうし、お芝居をしながら描くのはハードルが高かった」と振り返った。

 作品を見るだけでなく、実際に描いてみることで「線の描き方がちょっとでも変わると全然違う表情になる。顔のパーツも少ないし、影もないし、数少ない線で表情を表現しているのは奥が深い」と日本画の魅力も実感。歌麿の「ポッピンを吹く女」では「教科書で見ていたものなので、感慨深かった。写楽をまさか自分が描くとは」と目を丸くした。

 主演の横浜とは共演シーンが多かった。自身のクランクインを前にオンエアが始まっており「絶妙な距離感というか、一筋縄でいかない関係性を感じた」。

現場では「蔦重と流星くんとお芝居をしていると、歌麿という人の感情を引き出してくれる。ずっとエネルギーをもらっていた」と感謝。「彼の前でお芝居することが有意義で楽しかった。一緒にお芝居するときも、2人で方向性を確かめ合いながらお芝居できたよき戦友」と語った。

 大河ドラマ出演は、30代前半にして早くも5作目。本作は江戸時代中期を題材にしていることから「わりとつい最近の話で、なじみがある。時代劇の所作はあるけど、日常の延長戦にある世界観。米騒動とか現在とつながる」と親近感を覚えたという。染谷自身も舞台となる吉原(現在の東京・台東区)にほど近い深川の出身。「ちょっと行ったら吉原だし、今と地続きで感じやすい内容だった」。視聴者に向けて「ラストも『べらぼう』らしい終わり方をしている。大河ドラマ『べらぼう』も蔦重が作ったんじゃないかというくらいの面白さを感じると思う」と予告した。

(中西 珠友)

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