映画監督の原田眞人(はらだ・まさと)さんが8日に亡くなったことが13日、分かった。76歳だった。

原田さんは「クライマーズ・ハイ」などの社会派作品を多く手掛けた。2025年は映画界の巨匠の訃報が相次ぎ、「瀬戸内少年野球団」の篠田正浩さんや「釣りバカ日誌」を手掛けた栗山富夫さんらがこの世を去っている。

 

 原田さんは79年に「さらば映画の友よ インディアンサマー」で監督デビュー。95年の「KAMIKAZE TAXI」は海外でも高い評価を受け、「バウンス ko GALS」で報知映画賞監督賞を受賞。「金融腐蝕列島・呪縛」「突入せよ! あさま山荘事件」など重厚な社会派作品から「伝染歌」、「魍魎の匣」などエンターテインメント性の高い作品も手掛ける。トム・クルーズ主演の「ラスト サムライ」で俳優としてハリウッドデビューした。

 日航ジャンボ機墜落事件を追う新聞記者の奮闘を描いた「クライマーズ・ハイ」は2008年の日本アカデミー賞で優秀賞10部門受賞。「わが母の記」(2012年公開)はモントリオール映画祭で審査員特別グランプリ。日本アカデミー賞では12部門で優秀賞を受賞。2015年公開の「日本のいちばん長い日」でブルーリボン賞作品賞に輝いた。

 スクリーンの巨匠が相次いで亡くなった2025年。3月25日、映画「瀬戸内少年野球団」「写楽」「梟の城」などを監督した篠田正浩さんが肺炎のため死去した。

94歳だった。海外の映画祭にも積極的に参加し、69年に「心中天網島」をベネチア国際映画祭に出品したのを始め、「沈黙」(72年)、「卑弥呼」(74年)、「写楽」(95年)の3作がカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品。妻は女優の岩下志麻で知られる。

 また6月18日には、映画「釣りバカ日誌」シリーズを手掛けた栗山富夫さん(享年84)が悪性リンパ腫で亡くなった。国民的人気シリーズ「釣りバカ日誌」を1作目から計11作品、ほかに「ホーム・スイートホーム」「ホーム・スイートホーム2 日傘の来た道」「ふうけもん」などを手掛けた。

 さらに11月12日には、「ぼくらの七日間戦争」(宮沢りえ主演、1988年)などで知られる菅原浩志さんが70歳で死去。膵臓がんだった。「ぼくらの七日間戦争」で監督デビューを果たし、ブルーリボン賞作品賞、熊本映画祭監督賞を受賞するなど高い評価を受けた。同作は「日本映画100本」にも選出され、世代を超えて多くの人々に影響を与えている。さらに「ほたるの星」(2004年)、「早咲きの花」(06年)、「写真甲子園 0.5秒の夏」(18年)、「カムイのうた」(23年)などを発表。短編やドキュメンタリー作品を含む多数の作品を手がけ、映画を通じて文化振興にも貢献した。

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