歌手のクミコが13日、BS朝日の歌番組「人生、歌がある」の特番で、日本初のシャンソン喫茶「銀巴里」の大先輩・美輪明宏の名曲「ヨイトマケの唄」を熱唱した。

 同番組初の東京国際フォーラムでのコンサートを届けた4時間特番。

歌唱時にはすでに余命宣告を受けていたクミコの母は、コンサート当日も闘病中だった。

 クミコは歌唱前に同曲を「汗水垂らして昭和の方々は生きてきた。そんな情景が全部含まれている。日本産の、シャンソンを超えたシャンソン」と表現した。土木作業員として働く母とその子の姿を描いた曲には「母ちゃん見てくれ この姿」という歌詞も。クミコは自らの境遇を重ねるかのように、切々と歌い上げた。

 鬼気迫る歌唱の前に会場は静寂に包まれ、観客のすすり泣く声も響いた。クミコの母はコンサートから数日後に、老衰のため97歳で亡くなっている。

 昨年70歳を迎えたクミコは、今年6月にアルバム「シャンソンティックな歌たち~『出逢い』が歌を運んだ~」をリリースした。今月3日には、東京・有楽町よみうりホールで行われた「ニッポン・シャンソン・フェスティバル2025~大人のためのシャンソンティックな歌たち~」に出演。シャンソン歌手の経験を持つ料理愛好家・平野レミらとともに約1000人の観客を沸かせて話題になった。

 この日の「ヨイトマケの唄」は、自身のルーツとなるシャンソンに軸足を置いた音楽活動を象徴する歌唱となった。

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