巨人の戸郷翔征投手(25)が14日、オリオールズからFAとなっている菅野智之投手(36)とのキャッチボールで学んだ“極意”を取り戻し、来季の復活を目指すと誓った。今季は2度の2軍降格などを経験。

本来の投球とはいかなかった右腕は、不振の要因の一つを制球だと分析し、今月上旬から兵庫県内で自主トレを行う。強化ポイントには「右股関節」を掲げ、改めてコントロールを磨き上げる。

 戸郷は入念にストレッチを行い、股関節を伸ばした。今月は兵庫・尼崎で自主トレを行っている右腕は「一つ、僕の中で見つけたのは右の股関節。そこが動けば全て良くなるだろうなって思う。コントロールが良くならないし、キャッチボール一つ一つ丁寧にやらないといけない」。来季の復活のポイントの一つに「右股関節」を挙げて、コントロールの改善を目指すことを誓った。

 今季は開幕投手を任されながら2度の2軍降格も経験し、21登板で8勝9敗、防御率4・14。「コントロールは1軍の舞台で活躍するのに必要。それがダメだから、今年活躍できなかったのは分かっている」と振り返った。かつても制球力は課題だった。それだけに克服方法は理解している。

 「昔コントロールが悪かったけど、それが良くなったのは菅野さんとキャッチボールをするようになってから。菅野さんは距離が変わってもコントロールも球の質の球威も変わらない。そういうところは見習いながらやっていたし、だからこそいいものもあった」。菅野とのキャッチボールの動画を見返し、体の使い方や意識を見直してきた。大エースとのキャッチボールで培ったコントロールを取り戻す構えだ。

 中でもポイントとなるのは「右股関節」だ。「やっぱり(体の)粘りがなくて、今年は右股関節の動きが悪かった。大きく長く使おうと思った時に、動かないところや筋肉が弱まっているところがあるはず。そこをもう一度見直して、深く長くやっているところです」。これまで動いていた右股関節が硬くなり、うまく体を使えていないことに気がついた。自主トレではボディービルダーの鈴木雅氏から指導を受け、右股関節の可動域を広げ、動きやすくするための調整を行っている。

 オフに入ってから菅野と食事に出かけ、技術面から精神面までさまざまな話を交わした。

エースの称号を受け継いだ背番号20へ、菅野からは「今年の経験は絶対にいいものになるし、まだいろいろ経験するはずだから、こんなことでくじけたらダメ。本当にいい経験をしたんだから、来年は必ずやり返さないといけないよ」と言葉をかけられた。菅野のようなエースとしてのプライドも取り戻す。

 「菅野さんの存在って本当にでかい。いろんな話をお互いにした。いろんな苦しみを味わいましたけど、これを1軍で味わえている。もちろん去年のイメージがゼロになったわけではないですし、一ついい成長過程だと思いながらやっていきたい」。心も体も柔らかく。原点に戻ったつもりで、また壁を乗り越える。(水上 智恵)

 〇…杉内投手チーフコーチが戸郷の復活に期待を寄せた。22~24年は3年連続12勝を記録していたが、今季は8勝(9敗)。「絶不調でも8勝したわけだから。

そこは自信を持って、これより下はないと思って来年投げればいい」と前向きに話し「ここからどうするか。上がるだけの力は持っている。自主トレからしっかりやってくると思うから。(キャンプインの姿が)楽しみよ」とうなずいた。

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