「第50回報知映画賞」の表彰式が15日、都内で行われた。

 「国宝」で23年ぶりの作品賞&監督賞のダブル受賞となった李相日(り・さんいる)監督(51)はグレーのスーツで登壇。

同作で存在感抜群の老女形を演じた田中泯(80)から花束を贈られると満面の笑みを浮かべた。

 田中に「一生、感謝したい。僕にとってはとんでもない転機を与えていただいた作品になりました」と感謝されると照れ笑い。新人賞受賞で大粒の涙を流した松谷鷹也に「新人賞の松谷さん、おめでとうございます」と声をかけると「僕もフラガールで報知映画賞をいただいた時を思い出しました」と続けた。

 「賞の重みにふさわしい才があるか分からないんですが、できるのは信じること。自分の信じた俳優に託し、監督も周囲からの信頼によって立ち続けることができる。それがなければ現場に立ち続けることはできない」と続けると「感謝するのは…。お一人だけ名前を出すとしたら、原作者の吉田修一さんです。僕がどんな判断をしても信頼してくれた。スタッフ、キャストの信頼があってこの映画を完成させることができました。世界でも、この映画の映画的要素、一つ一つのディテールのことを皆さん、称賛してくれる。日本映画の魅力がダイレクトに伝わっていることに喜びを感じています」と話していた。

 作品賞と監督賞のダブル受賞は2002年、山田洋次監督の「たそがれ清兵衛」以来、23年ぶりの快挙。李監督の作品賞は「フラガール」(06年)、「悪人」(10年)に続く3度目、監督賞は「怒り」(16年)に続く2度目。いずれも報知映画賞50回の歴史で最多タイだった。

 この日の表彰式の模様はBS10で15日午後6時から放送される。

 ◆国宝 任侠の家に生まれた立花喜久雄(吉沢亮)は上方歌舞伎の大物俳優・花井半二郎(渡辺謙)に引き取られ、部屋子となる。血筋が重視される歌舞伎の世界で半二郎の息子・大垣俊介(横浜流星)としのぎを削り、女形として芸に生涯をささげる。

 ◆李 相日(り・さんいる)1974年1月6日、新潟県生まれ。51歳。大学卒業後、日本映画学校で学び、卒業制作の「青 chong」が2000年のぴあフィルムフェスティバルでグランプリなど4部門を受賞してデビュー。06年の「フラガール」で報知映画賞作品賞、日本アカデミー賞最優秀作品賞などを受賞。ほかに「悪人」(10年)、「許されざる者」(13年)、「怒り」(16年)など。

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