記念すべき「第50回報知映画賞」の表彰式が15日、都内で行われた。

 映画初主演となった「栄光のバックホーム」(秋山純監督)で新人賞に輝いた松谷鷹也(31)は黒の三つぞろえスーツにひときわ目立つ長身を包んで登壇。

選考委員のYOUに「すごい身長高い。何センチ?」と聞かれると「185センチです」と笑顔で答えた。

 父は巨人にドラフト2位入団の投手だった竜二郎さん。自身も小学生から野球を始め、高校時代は学法福島で投手として活躍し、東北大会では当時花巻東の大谷翔平投手と対戦経験もある高校球児だった。この日の壇上でも大谷との対戦について「僕がバッターで大谷さんがピッチャーで。サードファウルフライに打ち取られました」と明かして会場の笑いを誘った。

 元プロ野球・阪神の外野手で、2023年に脳腫瘍のため死去した横田慎太郎さん(享年28)の壮絶な人生を演じきり、観客の胸を打った。23年に横田さんが亡くなり、24年にクランクインした作品で新人俳優最大の栄冠をゲットした。

 肩を壊し大学で野球を辞めたが、この作品のために練習を再開した松谷は、花束を持って駆けつけた秋山監督に「僕のアシスタントを5年間も務めてくれてありがとう。もうクビです。これからは振り返ることなく俳優として羽ばたいていってほしい」と言われると大粒の涙をこぼした。

 マイクの前に立つと「第50回という記念すべき年にこうやって新人賞をいただくことができて、本当にうれしく思ってます。

選考委員の皆様、本当にありがとうございます」と震える声で頭を下げた。

 「今日、僕がこうやって、ここに立って話させていただいているのは、見城(徹)社長と秋山監督が誰も知らないような無名の新人の僕を映画で抜擢していただいたからです。本当に、本当にありがとうございます」と話すと、母親役を演じた鈴木京香はじめキャスト、スタッフの名前を一人ずつ丁寧にあげて感謝。「皆さん1人1人が横田慎太郎さんの生きざまを伝えたいと、みんなで話し合って作り上げさせていただいて…。そのおかげで僕は横田慎太郎さんとして存在できたので、本当に、本当に皆さんに感謝します」と続けると「本当に、この新人賞という名に恥じないように、これから日々成長という言葉を胸に1日1日大切に日々頑張っていきますので、皆さん、よろしくお願いします」とさわやか過ぎる涙のスポーツマンは深々と頭を下げた。

 この日の表彰式の模様はBS10で15日午後6時から放送される。

 ◆栄光のバックホーム 横田慎太郎(松谷鷹也)は2013年のドラフト会議で阪神に2位指名され、将来を期待されるも、21歳で脳腫瘍を発症する。現役引退を余儀なくされた慎太郎は、最後の試合で奇跡のバックホームを見せる。母(鈴木京香)の献身的な愛を受けながら壮絶な闘病に挑む。

 ▼奇跡のバックホーム 2019年9月26日、横田さんの引退試合となったウエスタン・リーグの対ソフトバンク戦(阪神鳴尾浜球場)。1096日ぶりの公式戦で、8回表途中から中堅の守備で出場した横田さんは、視力が回復していない中、目前に飛んだ打球を素早く処理し、本塁へのノーバウンド返球で二塁走者を刺した。

 ◆松谷 鷹也(まつたに・たかや)1994年1月22日生まれ。

神奈川県出身。31歳。21年、映画「ブレイブ―群青戦記―」に出演。22年の映画「20歳のソウル」では裏方としてお弁当の手配やロケ車の運転などを担当した。25年11月から芸能事務所アービングに所属。特技は睡眠学習、整理整頓。趣味は料理、筋トレ。父は元巨人投手で実業家の松谷竜二郎氏。

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