◆プロボクシング ▽WBO世界フライ級(50・8キロ以下)タイトルマッチ12回戦 王者アンソニー・オラスクアガ―同級4位・桑原拓▽WBA・WBO世界ライトフライ級(48・9キロ以下)王座統一戦12回戦 WBA王者・高見亨介―WBO王者レネ・サンティアゴ▽WBA世界バンタム級(53・5キロ以下)タイトルマッチ12回戦 正規王者・堤聖也―暫定王者ノニト・ドネア(12月17日、東京・両国国技館)

 トリプル世界戦の記者会見が15日、都内のホテルで行われ、2度目の世界挑戦に臨むWBO世界フライ級4位・桑原拓(30)=大橋=が王座奪取に意欲を示した。

 WBO世界同級王者アンソニー・オラスクアガ(26)=米国=に挑む桑原は「すごく調子もいいですし、メンタル、モチベーションも高い状態を保ったまま、ここまで来られている。

ベルトを目の前にして、気持ちも高まりましたし、試合が楽しみで仕方ない」と力を込めた。王者の印象については「表情的にもすごく調子は良さそう。試合当日にやってみて、どう感じるか。そこがカギだと思う」と冷静に話した。

 桑原は昨年5月に東京ドームでWBA世界同級王者ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)に判定負け。その後再起を図り、今年3月にはハムソン・ラマンダウ(インドネシア)を5回KOで下した。だが、6月に52・0キロ契約8回戦で湊義生(JM加古川)と対戦予定も、5月のスパーリング中にアキレス腱を部分断裂して試合は中止となった。それでも1か月半ほどで練習を再開。12月18日に後楽園ホールでフー・ロンイー(中国)と51・5キロ契約8回戦を戦う予定だったが、当初オラスクアガに挑戦予定だった飯村樹輝弥(27)=角海老宝石=が負傷で辞退。急きょ世界戦のチャンスが巡ってきた。

 「前回は初めての世界戦ということで、気持ちの持っていき方というものが完璧ではなかったのかな。2度目の世界戦ということで、流れが分かっていますから。

前回の練習ではケガ(あばら骨を負傷)とかもあってマックスにはできなかったので、そういう不安もあった中での世界戦だった。今回は完璧に進んで、最高のコンディションでここに来られているので、あとは試合をするだけ」と桑原。

 復帰戦に向けては9月から、同じ興行に出場するWBA世界バンタム級王者・堤聖也(29)=角海老宝石=をはじめ、同門の田中将吾、大みそかにWBA世界ライトフライ級挑戦者決定戦に臨む吉良大弥(22)=志成=らとスパーリングを重ねてきた。

 11月に、同じ1995年生まれで同門の井上拓真(29)が那須川天心(27)=帝拳=に判定勝ちしてWBC世界バンタム級新王者となった。桑原が祝福のメッセージを送ると、拓真からは「バトンをつないだよ」と返信をもらったという。さらに記者会見に出席した元WBA世界フライ級王者・ユーリ阿久井政悟(30)=倉敷守安=から「桑原選手はこの階級トップクラスのスピードがある選手で、それに加えて僕と2度戦った中でパワーも上げてきた。今回、コンディションもいいということですごく楽しみにしています」とエールが送られた。これには桑原も「うれしかった」と素直に喜び、改めて気を引き締めた。

 大橋ジムの大橋秀行会長(60)は「東京ドームで負けた経験を生かすこと。後手に回らず、攻撃的なスピードで攻めていかないと」と期待を寄せる。「(オラスクアガは)総合的につよい。その中で攻撃力が光っている。

全てに警戒しながら、パンチをもらわないこと」と桑原。エンジのベルトを手にして、27日にサウジアラビアで防衛戦を戦うジムの先輩、世界4団体スーパーバンタム級(55・3キロ以下)統一王者・井上尚弥(大橋)へ勝利のバトンをつなぎたいところだ。

 戦績はオラスクアガが10勝(7KO)1敗、桑原が14勝(9KO)2敗。

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