「第50回報知映画賞」の表彰式が15日、東京・渋谷区のセルリアンタワー東急ホテルで行われた。「ナイトフラワー」(内田英治監督)で助演女優賞を受賞した森田望智(みさと、29)は「お芝居を頑張ろうという活力をいただきました」と喜んだ。

映画賞は初受賞。「これから壁が出て来た時、振り返ってみるのがこの賞なのかな」と、自らの女優人生において礎になるものであると語った。

 これ以上ない笑顔を輝かせながら、森田がブロンズ像を手にした。「スクリーンの中で役を生きることを目標にしてきたことが、『そのままでいいんだよ』と言われてる気がした。これからもお芝居を頑張ろうという活力をいただきました」。初の映画賞受賞に、頬は緩みっぱなしだった。

 「ナイトフラワー」の内田監督は、森田が初めて脚光を浴びたNetflixドラマ「全裸監督」に起用した恩人。その内田監督から「君は技術的にうまいタイプではない。うまくやろうとすることは諦めて。あなたに大事なのは感情や内面」と助言されて以降、「一生懸命、役の気持ちを考えてコツコツとやってきた」という。

 格闘家を演じるにあたり、体重を7キロ増量。格闘シーンに向けて約半年間かけて役作りに励み「心技体という言葉がありますけど、全てがつながって一つの人間になるという感覚を今までの中で一番味わった」と明かした。

選考委員の見城徹氏からは、米俳優ロバート・デ・ニーロの徹底した役作り「デ・ニーロ・アプローチ」を引き合いに「シャドーボクシングをするシーンは完全にプロ。デ・ニーロ・アプローチを超えて『森田望智アプローチ』になった」と称賛された。

 14歳でデビュー後、「全裸―」に出演するまで約8年の下積み生活を経験。その間、挫折を感じたことは「ない」と即答する。「おうちで誰にも見られてない中、一人でお芝居の練習をするときも楽しかった。お芝居が好きだという気持ちをずっと持ち続けられた」。女優業は天職だ。

 「『やり切ったぞ!』と思えた作品はまだ一回もない」と向上心が消えることはない。来年には初舞台「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」、27年にはNHK連続テレビ小説「巡(まわ)るスワン」のヒロインなど大仕事が控える。

 「これから何か突破しなくてはいけない壁が出て来たり、めげそうになったりした時に振り返ってみるのがこの作品、賞になると思います」。受賞を心の支えに、今後も芝居愛を役にぶつけていく。(松下 大樹)

 ◆森田 望智(もりた・みさと)1996年9月13日生まれ。

神奈川県出身。29歳。2011年、CM出演をきっかけに女優活動を開始。19年、Netflix「全裸監督」で脚光を浴び、24年度前期のNHK連続テレビ小説「虎に翼」、Netflix「シティーハンター」などに出演。身長163センチ。

 〇…花束ゲストとして、森田が演じた多摩恵が所属するボクシングジム会長役の光石研(64)が登壇した。出演シーンは森田との共演がほとんどだったことから「体当たりで命を削るようなアプローチをしているのを目の当たりにしました」と振り返り、「この賞に本当にふさわしい」とたたえた。

 ◆選考委員 浅川貴道(読売新聞文化部映画担当)、荒木久文(映画評論家)、見城徹(株式会社幻冬舎代表取締役社長)、藤田晋(株式会社サイバーエージェント代表取締役会長)、松本志のぶ(フリーアナウンサー)、YOU(タレント)、LiLiCo(映画コメンテーター)、渡辺祥子(映画評論家)の各氏(五十音順)とスポーツ報知映画担当。

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