「第50回報知映画賞」の表彰式が15日、東京・渋谷区のセルリアンタワー東急ホテルで行われた。23年ぶりに作品賞、監督賞をダブル受賞した「国宝」の李相日監督(51)は「信頼こそ、その人の力を引き出す」と周囲に感謝した。

 作品賞、監督賞をダブル受賞した李監督は、米ロサンゼルスで行われたトム・クルーズ(63)主催の「国宝」上映会から昨夜帰国したばかり。時差ボケと闘いながら、表彰式に駆けつけた。

 主演に起用した吉沢亮と再会し、一気に目が覚めた。悪戦苦闘しながら歌舞伎の女形を演じきった吉沢を念頭に「監督ができることは信じることだけ。この人、と決めた以上は、何があろうと最後まで信じ抜く。信頼こそ、その人の力を引き出すことになる」と思いを凝縮させた。今回の受賞も「みんなで成し遂げたことなので、スタッフ全員で喜びを分かち合いたい」と謙虚に喜んだ。

 第98回米アカデミー賞国際長編映画賞ノミネートを目指している。トムからは「音楽、構成、撮影、美術、衣装、全てが完璧にデザインされている」と絶賛された。「アカデミー賞の投票にかかわらず、世界的トップスターのトムさんが評価してくれるのは、うれしいこと」。ノミネート作品は来年1月に発表されるが、「国際長編部門は例年以上に激戦。ノミネートは五分五分でしょうね。

憧れの場所。行きたいですね」と思い描いた。

 邦画実写の歴代興収記録を22年ぶりに塗り替え、次回作も注目される。「期待はされないより、された方がいい。その期待をどう返すか。返し方に創意工夫が生まれる。心の中に定めている物があります」。周囲の期待を前向きなエネルギーに切り替え、次回作に臨む。(有野 博幸)

 ◆選考委員 浅川貴道(読売新聞文化部映画担当)、荒木久文(映画評論家)、見城徹(株式会社幻冬舎代表取締役社長)、藤田晋(株式会社サイバーエージェント代表取締役会長)、松本志のぶ(フリーアナウンサー)、YOU(タレント)、LiLiCo(映画コメンテーター)、渡辺祥子(映画評論家)の各氏(五十音順)とスポーツ報知映画担当。

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