「第50回報知映画賞」の表彰式が15日、東京・渋谷区のセルリアンタワー東急ホテルで行われた。11月に「50th報知映画賞ヒストリー」で映画賞の誕生秘話を連載した内野小百美編集委員が、第50回の節目に何を感じ、考えたのかをつづります。
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朝早く目が覚めたので、第1回表彰式が行われた東京・麹町の東條會館の前を通ってから会場に向かうことにした。昔、すぐ近くに報知の社屋があった、皇居の森を望むすばらしい場所で報知映画賞はスタートした。第50回を迎え、原点の場所に触れたい気持ちに駆られた。その場に着いて空を見上げると、雲ひとつない青空が広がっていた。
記者が報知映画賞に初めて関わったのは四半世紀前。歴史の半分を知る幸運に恵まれたことになる。取材で印象深いのは第25回(2000年)の「顔」での藤山直美、第28回(03年)の「赤目四十八瀧心中未遂」での寺島しのぶ。主演女優賞を獲得した2人は、この賞からものすごい勢いで賞レースを総なめに。報知映画賞の存在意義を改めて考えるようになった。
一方で、運営側にいると何かミスが起きないか心配で気が散り散りになりがちだ。受賞者の喜びの奥にある大事なものに気づかず、後悔することもあった。それらの思いを一新してくれたのは、コロナ禍で表彰式が開催出来なかった20年の翌年(第46回)。
願わくば、半世紀前に報知映画賞を発案し、実現のために奔走した複数のOBに、表彰式を見てもらいたかった。残念ながらスケジュールの都合でかなわなかった。この日は例年に増して、心を打つシーンが多かった。それらの光景を克明に目に焼き付けた。“映画賞の生みの親”の先輩たちに、第50回を無事に終えられたことを、しっかり報告しようと思う。

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