◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 気遣いのできる人はすてきだ。女優・MEGUMIの温かい一面を目撃した。

11月6日、都内で行われたドキュメンタリー映画「名無しの子」(竹内亮監督)完成披露試写会。取材場所の関係で私が座ったのは、タレント・小島瑠璃子の前だった。

 2年半ぶりに芸能活動を再開して初めての公の場。私もこじるりと同学年で、同じ年頃の子どももいる。だからこそ、彼女の味わった心の痛みは想像を絶するものだと思う。記者の私が目の前に座り、何度も様子を確認するのはプレッシャーを与えてしまうだろう。気まずかった。

 イベントは2部制だった。第1部にMEGUMIが、第2部にこじるりが登壇予定だった。MEGUMIは竹内監督と中国の映画業界についてトークを展開した。その間、こじるりは席に座ったまま、うなずきながら話を聞いていた。

 MEGUMIはトークセッションを終えると、そのまま楽屋に戻る予定だったが、降壇して数歩歩き、こじるりの隣で立ち止まった。

何が起こるのか―。少し緊張感が漂った。すると、MEGUMIはこじるりの目をじっと見つめ、ハキハキした口調で言った。「お体に気をつけて」。サラッとした優しさ。過度に励ましの言葉をかけるわけではない。でも、本気で気にかけているのが視線の強さから伝わる。

 こじるりは一瞬の出来事に驚いた様子だった。少し間があってから、ハッと思い直したように立ち上がって一礼した。MEGUMIはもう立ち去ったあと。去り際の背中も美しく、かっこよかった。(芸能担当・水野佑紀)

 ◆水野 佑紀(みずの・ゆき)2017年入社。

今年は前厄。真夏に自宅のトイレと全館空調が壊れた。

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