米映画「スタンド・バイ・ミー」(1986年公開、日本公開87年)で知られる米映画監督のロブ・ライナーさん(78)が14日、米ロサンゼルスの自宅で妻のミッチェルさんと共に死亡しているのが見つかった。遺体には刺し傷があったとして、警察は殺人事件とみて捜査している。

 米メディアによると、現地時間14日午後3時半過ぎに通報を受けた警察と消防がライナー夫妻の自宅に到着し、2人の死亡を確認。遺族関係者は「ミッチェル、ロブ・ライナー夫妻の悲劇的な逝去に深い悲しみをもってお知らせします」と声明を発表。事件の詳細や死因については明かされていないが、家族の1人が事情を聞かれているという。

 ライナーさんは1947年ニューヨーク生まれ。「オール・イン・ザ・ファミリー」でエミー賞を獲得するなど俳優として活動した。その後、映画監督に転身。家庭の問題を抱える4人の少年が米オレゴン州の田舎町で行方不明の少年を探す旅に出る「スタンド―」は、同名主題歌とともに世界中から愛される青春映画の名作とたたえられた。

 ヒューマンドラマだけでなくミステリー、政治など幅広いジャンルの作品でメガホンを取った。19年日本公開の「記者たち 衝撃と畏怖の真実」では2003年の米国によるイラク侵攻を「政府のねつ造と情報操作」だったことを突き止める新聞記者たちの奮闘を描いた。女優・吉永小百合(80)が主演した「最高の人生の見つけ方」の原案となる映画にも携わっていた。

 ◆ロブ・ライナー 1947年3月6日、米ニューヨーク生まれ。父も映画監督で、子役、俳優として活動。

84年公開の映画「スパイナル・タップ」で監督デビューし、86年「スタンド・バイ・ミー」が大ヒット。遺作は今年9月に公開した「スパイナル・タップ2」。

 〇…ライナー夫妻の悲報を受け、元米大統領のバラク・オバマ氏(64)がXを更新。「(妻の)ミシェルと私は、ロブ・ライナーと彼にとって最愛の妻の悲劇的な死に胸が張り裂ける思いです」とコメント。「ロブが映画やテレビで成し遂げた功績は、私たちにスクリーン上で最も愛される物語の数々をもたらしました」などと功績をたたえ、追悼した。カリフォルニア州のニューサム知事は声明を発表し「傑出した映画作品と人類への貢献で記憶されるだろう」と追悼した。

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