俳優の中村雅俊が15日、都内で映画初監督作品「五十年目の俺たちの旅」(来年1月9日公開)のトークショーを原作・脚本を手掛けた鎌田敏夫氏と開催した。

 日本テレビ系人気青春ドラマ「俺たちの旅」(1975~76年)が、50周年の節目に映画化。

ドラマ版でもおなじみの“カースケ”こと津村浩介(中村)、同級生の“オメダ”こと中谷隆夫(田中健)、浩介の郷里の先輩で“グズ六”こと熊沢伸六(秋野太作)の3人の現在を描く。同作の原作本「噴水 五十年目の俺たちの旅」(角川春樹事務所)もこの日、発売された。

 鎌田氏は、報道陣が取材に入るトークショーに出席するのは、今回が初めて。50年以上親交がある中村は「鎌田さんが来るって聞いて、ほんまかいなって驚きましたが、実際に今日はお目にかかれたので、本当だったんだ」と同席できたことに大喜び。鎌田氏がTBS系「金曜日の妻たちへ」、「男女7人夏物語」、NHK大河ドラマ「武蔵 MUSASHI」など名作を数多く輩出したたため「なんで『俺たちの旅』なんだろう。大好きなんだよね?」と質問すると、鎌田氏は「もちろん。そうでないと50年続けてない」とキッパリ答えて、会場を沸かせた。

 2年半前の鎌田氏の「雅俊、監督をやれ」の一言がきっかけで、監督と主演の二刀流が実現した。中村は「自分の芝居にはどうしても甘くなってしまう。編集作業の時、自分の芝居にもうちょっとだなって思うところが1つ2つありました。もう少し客観的に見ないといけない」と苦笑いする一方で、鎌田氏の脚本を絶賛。「『国宝』と脚本の手法が似ています。

言える範囲でいうと、歌舞伎の映画ですよね?最初はヤクザの抗争みたいなところ」と評価した。

 青春ドラマの金字塔が令和になって帰ってくる。夢の展開にファンの気持ちも高まるばかり。この日、会場に駆けつけたファンが「アカデミー賞を目指しますか?」と質問すると、会場中から熱い拍手が起こった。「いや~あまりにも唐突な質問だったので、言葉がないですけど」と困惑しながら、「この作品は娯楽物だと思って、楽しんでもらえたら。50年前に一生懸命テレビを見ていた人たちが、懐かしく思うような、昔の自分にまた出会ってほしいです。アカデミー賞のアの字もないですが、できるだけ多くの人に見てほしいという願いです」と力を込めた。

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