◆プロボクシング ▽WBO世界フライ級(50・8キロ以下)タイトルマッチ12回戦 王者アンソニー・オラスクアガ―同級4位・桑原拓▽WBA・WBO世界ライトフライ級(48・9キロ以下)王座統一戦12回戦 WBA王者・高見亨介―WBO王者レネ・サンティアゴ▽WBA世界バンタム級(53・5キロ以下)タイトルマッチ12回戦 正規王者・堤聖也―暫定王者ノニト・ドネア(12月17日、東京・両国国技館)

 トリプル世界戦の前日計量が16日、都内のホテルで行われ、4度目の防衛戦に臨むWBO世界フライ級王者アンソニー・オラスクアガ(26)=米国/帝拳=は規定体重から400グラム軽い50・4キロで一発クリア。挑戦者のWBO世界同級4位・桑原拓(30)=大橋=もリミットから100グラムアンダーの50・7キロでパスした。

 体重をクリアして小さく両手で拳を握った桑原は「減量は最後はきつかったけど、スムーズでした。体は過去イチ(の仕上がり)。3か月前から試合に向けて準備してきましたから、それが体に出た」。急きょ決まった世界戦でも当初予定していた試合に向けて準備してきただけに、世界戦となってモチベーションはさらに高まった。

 この日の検診で、血圧が164/71と高めに出たが「実は事故渋滞にはまって、間に合うかなと…。10分前に着いて慌てて走ってきた。普段は110~120くらい。血圧も過去最高でした」と笑わせた。

 試合のルール会議では、オラスクアガが使用を予定していた米国ジャクソン社製のグラブが堅いと桑原陣営が指摘。WBOも認めて、王者はメキシコ製(レイジェス社)のグラブに変更となった。オラスクアガを指導する岡辺大介トレーナーは「本人も大丈夫というので変更しました。問題ありません」と話した。

岡辺氏は「練習はできているし、いつもどおりの仕上がり。桑原対策もできている。ジャブを突いて、先に先に攻める」とV4へ自信を漂わせた。オラスクアガは、5度防衛するとWBOから特別リングが贈られるとあって、ここは負けられない一戦。15日の会見では「準備万端。4度目の防衛へ強さとコンディションをしっかり出したい」と意欲を見せていた。

 桑原は昨年5月の東京ドーム興行以来、2度目の世界挑戦。「体に張りはあるし、筋肉も大きくなって、サンドバッグやミット打ちでも威力、衝撃が自分でも違うと感じる。明日はそれをお見せできる」と話した桑原。「相手は攻撃的に来る。真っ向勝負を挑むか、足を使うか。瞬間、瞬間のひらめきと自分を信じて戦う」と力を込めた。

今夜はウナギを食べて精をつけるという。

 オラスクアガは世界3階級制覇王者・中谷潤人(27)=M・T=とは15歳から米国ロサンゼルスでルディ・エルナンデス・トレーナーの指導を受けてきた親友同士。一方、桑原は世界戦前の練習で、同じジムの先輩で世界4団体スーパーバンタム級(55・3キロ以下)統一王者・井上尚弥(32)=大橋=からアドバイスを受けたという。井上尚と中谷は来年5月、東京ドームでの対戦が期待されており、両選手はともに今月27日、サウジアラビアの首都リヤドでの興行で“競演”を果たす予定。今回は2人がそれぞれ“サポート”する選手同士の対戦。大きな注目を集めそうだ。

 戦績はオラスクアガが10勝(7KO)1敗、桑原が14勝(9KO)2敗。

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