大阪国際文化芸術プロジェクト「壽 初春歌舞伎特別公演開催記念 映画『国宝』と『京鹿子娘道成寺』」スペシャルトークショーが17日、大阪の大阪松竹座で開催された。

 実際の「京鹿子娘道成寺」のセットをバックに、映画「国宝」の李相日監督と、中村鴈治郎、中村壱太郎が「国宝」制作秘話についてトークを繰り広げた。

また、大阪府の吉村洋文府知事、横山英幸市長も登場。吉村府知事は映画について「歌舞伎の奥深さとか魅力っていうのはもちろんなんですけど、血筋とか努力とか、そこの難しさとか、そしてそれを越えたその先にある人間国宝が見る景色ってどんなんなんだろうっていうのを、まさに映画の中に完全に入って想像しながら、映画を見られた」と、大絶賛。横山市長は「狂気」といえるほど歌舞伎に打ち込む吉沢亮の演技に魅了されたことを明かし「『悪魔と取引してる』みたいなセリフですね。そこまで打ち込むのかというのを改めて感じた」と感想を語った。

 李監督はサハラ砂漠に旅行に行っていた時にトム・クルーズから連絡があったことも披露。「あさって来てほしいということで。事情を説明して慌てて飛びました」と笑い飛ばした。実際の鐘の上に李監督と鴈治郎が上るサービスショットも。李監督は「怖い」と言いながらも笑顔をのぞかせた。

 イベント後に会見に応じた鴈治郎は、来年1月の「壽 初春歌舞伎特別公演」(1月7日~25日、大阪松竹座)公演について「1月の正月を大阪で迎えることができる。それも大阪松竹座の公演で大変うれしい」と笑顔。一方で、来年5月に同館が閉館されることが決まっており壱太郎は「国宝効果で、歌舞伎というものに興味を持ってもらえる中、古典をどれだけ分かりやすく演じているかというのが問われている公演なんじゃないかなと思っています」と気持ちを引き締めた。

 6月以降の上方歌舞伎のありようにも心を砕く2人。鴈治郎は「やっぱりここ(松竹座)を放っておけないっていうぐらいに思ってくれたらいいなと。感慨にはまだ浸れない」と言葉に力を込める。壱太郎も「閉まることは決まっているので、これを悔やんでもしょうがないし、その事実は変わらない。6月以降どういう動きにつながっていくかということが大事」と、今後の芝居小屋の存続危機についても言及した。

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